デマというのがデマなのか、それともただのデマなのか

東日本大震災から5年が経った。みんなすっかり忘れているみたいだが、関東も被災地だった。Twitterに千葉の製油所の火災の写真が流れてきた。遠くからも煙が見えたし、火災は21日まで鎮火しなかったそうだ。

遠くの煙を目にして、ご近所で「今に有害物質が黒い雨になって降ってくる」という話が飛び交っていたことをよく覚えている。「家にいたほうがよい」と言われたのだが「あれはデマだから落ち着いた方がよい」と言ったが、確証はなかった。誰だって目の前で工場が燃えているのを見れば、何か悪いことが起こるのではないかと不安になるだろう。100%安心かと言われれば「わからない」としかいいようがない。

後になって政府も「あれはデマだ」と発表した。ということで、この件は公式に「デマ認定」されている。

だが、これがデマではなかったと信じている人も多いようだ。隣にある工場に劣化ウランが貯蔵されており、ここにも延焼したのだという。火はすぐに消し止められ政府も「劣化ウランが漏れ出すことはなかった」と発表しているのだが、信頼しない人がいるのだ。

冷静に考えると、やはりあれはデマだったのではないかと思う。当時のデマは「製油所が燃えているので気をつけろ」というものだった。放射性物質については何一つ触れられていない。加えて「~によると」という部分がころころと変わっている。さらに「雨が降っていなかったし、降りそうもなかった」こともある。劣化ウランの件は後付けなのだろう。

実際にTwitterでのデマの拡散過程を確かめた人がいる。不確かな情報が最初にあり、それが統合する過程で断定口調に変わってゆく。Twitterをやっていない人がいるからと善意で携帯メールで拡散した人もいるらしい。

だが、人々が不信感を持つのも当然かもしれない。政府の中枢は福島対応で大混乱になっていたようだし、もともと放射線への抵抗感が強い人にちょっとでも「放射性物質が漏れる可能性がある」などとほのめかそうものなら大規模な製油所反対運動に発展していただろう。

今ではすっかり中国の手下と見なされている民主党だが、政権当時の対応から分かるようにやはり親米政権だ。民主党がすでに政治化している原子力運動の運動家たちを刺激したくなかったという気持ちはよくわかる。

何かあっても本当のことなど教えてもらえないのではないのかという不信感を払拭するのは不可能なのではないかと思える。だから、こうした話が出たときは隠蔽したり無理に否定したりせずに、そのまま鎮火するのを待つ方がよいのだという。

 

 

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