TBSの朝が悪い方向に変わった

TBSの朝が変わった。社会派討論番組が廃止され生活情報番組になった。少し見たのだが絶望的な気分になった。ネットに完全に負けているのである。おそらくもうキャッチアップはできないんだろうなと思った。




TBSの朝から立川志らくが消えた。代わりにラヴィットという番組が始まった。ちょっとだけ見て唖然とした。理由は二つある。まず吉本の芸人がずらっと並んでいた。そしてスーパーの人気商品ランキングをやっていた。芸人とスーパーマーケットのチラシ的な情報が「TBSが考えた消費者が欲しがっているもの」なんだろうなと思った。テレビのイオンモール化である。

新型コロナで経済が停滞しているといわれている。ネットにも押されてテレビCMへの出稿は減っているようだ。高齢者はテレビは見てくれるがお金は使ってくれない。だから若い人たちに訴求しようと考えたのだろう。

社会派番組というのは結局のところ中高年が考える「けしからん人たち」の悪口をいう番組なので、テレビがこれは儲からないなと考えるところまでは当たっていると思う。対抗するテレビ朝日のモーニングショーも政権叩きからは卒業したいのではないだろうか。

もしかしたらこれまでも対して消費者のことたいして見えていなかったのかもしれないのだが、それが表面化することはなかった。YouTubeが出て来るまでは比較対象がなかったからだ。

ところが最近はYouTubeがある。YouTubeでは視聴履歴にしたがってオススメ番組が自動で表示される上に広告までカスタマイズされている。コンテンツを送り出す側もリアルタイム視聴率である閲覧数が出るので「何が受けるのか」が瞬時に把握できる。

最初は「これは便利だ」と感動していたのだが、そのうちに「自分が探している情報がドンピシャで出てくる」というのが当たり前になってくる。すると今度はテレビのソレジャナイ感が顕著に見えてくるのだ。

ラヴィットはどことなく王様のブランチに似ている。休日の働いている女子の好きなものを延々と並べるという番組である。彼女たちが好きなものといえば、カルチャーと食べ物とお部屋の小物である。王様のブランチは「女子は社会の難しい問題など考えず自分の部屋周りだけ楽しければいい」という幻想を振りまいてきた。TBSはこれを平日に拡張しようとしているのかもしれないと思った。

最初のうちはそう毒づいていたのだが、あさイチは比較的真面目に生活情報や女性の悩み事を取り上げて成功している。そこで「昔はTBSもそうだった」と思った。それがはなまるマーケットである。

「そういえばどうしてはなまるマーケット回帰を目指さなかったのだろうか」と気になった。そう考えて、さらにため息が出た。はなまるマーケットはライオンが提供していたのだと思う。そのため番組生活者はライオンのお客さんが喜びそうなコンテンツさえ用意すればよかった。お金の面倒はライオンが見る。だからテレビはお客さんに集中できたのだ。NHKも受信料収入でやっているので視聴者に集中できるのだ。

ラヴィットは多分「一社提供」がなく「常に広告出稿者」を集めてこなければならない。「CMはでは出せない」もっと直売につながるダイレクトなコンテンツが欲しいとなるとランキング番組を作ってこれでもかと商品を詰め込まなければならない。そして吉本の芸人を使って出演者を安く抑えなければならない。だが、YouTubeというライバルがいるなか誰もそんな番組は見ないだろう。だからお客さんはますますネットに流れてゆく。

仮にラヴィットの製作陣の意識が消費者とずれているだけであればそれを修正すればいい。だがおそらく構造的な問題なので個人の努力ではどうしようもない。

大阪のMBS制作のサタプラも同じようなことを考えたのだなと思った。まず、サワコの朝という中高年が好みそうな番組が消えた。阿川佐和子さんというのは中高年に人気のありそうな人だが「もういらない」ということになったのだろう。代わりに情報番組の枠が増えたのだが、あろうことか掃除機を掻き集めてきて「どれが静かで吸引力が高いか」などとやっていた。MBSはもっと困っているんだろうなあと思った。

YouTubeでやれば面白い企画なのかもしれない。スポンサーなしで全ての掃除機の銘柄を見せてくれただろう。だがMBSは広告出稿者に忖度する必要があるのだろう。トップの掃除機以外は見せていなかった。この中に「隠れスポンサーもあるのかな」などと思いながら冷ややかに眺めるのみだった。

テレビって本当に難しい時期にきているんだろうなと改めて実感した。

Google Recommendation Advertisement



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です