SMAP解散に寄せて

昨晩はSMAPが解散するということで大騒ぎだったようだ。NHKは速報まで流したのだという。もともとはサイゾーが流した話だったが、一夜にして事務所発表ということになってしまった。時期を選んでオリンピックシーズンにぶつけたというわけではないかもしれない。

SMAPの経済効果を調べたところ、ファンクラブ(98万人が4000円の会費を払っているそうだ)収入とコンサート収入をあわせて100億円以上あるという。解散によってこれが消えてしまうことになる。

また、最近視聴率の低下に悩むフジテレビも看板番組を失う。12月まで活動するということだが、冷えきっていることが分かっているグループの番組を見たいと思う人は減るだろう。さらに、所属レコード会社であるビクター・エンターティンメントも稼ぎ頭の一組を失う。ビクター・エンターティンメントには他にサザンオールスターズなどがいるのだが、往時に比べると勢いは衰えているようだ。

SMAPが解散に至った直接の原因は、大きくなったプロダクトの一部を壊してしまったことにある。ジャニーズ側としてはマネージメントの飯島氏からプロダクトを分離して、自分たちのコントロール下に置きたいという思惑があったのだろう。しかし、現実には飯島氏はSMAPの一部であって「一緒にグループを育ててきた」という意識が強かったようだ。それを見誤った会社側は少なくとも100億円を瞬時に失うことになってしまった。

事務所側は危機管理に失敗した。関係者を巻き込んで「マネージャーが暴走した」という物語を作ってファンを納得させようとした。ジャニーズのタレントと良好な関係を保ちたいスポーツ新聞各社はあたかもこれが客観的事実のように報道したが、女性週刊誌はジャニーズの報道におつきあいしつつ、たびたび「香取慎吾が仲間内で脱退の話をしている」などと報じてきた。

しかしながら、最大の失敗はプロダクトを発展的に次の段階に持って行けなかったことだろう。アイドルグループは、コンサートで唄わせて、テレビ番組で仲がいいところを見せるという図式しか描けなかった。しかし、フジテレビが27時間テレビで「疲れるまで踊らせる」という企画を組んだ時点でSMAPは「アイドルのパロディー」になっていた。フジテレビやビクター・エンターティンメントという老舗企業がSMAPに依存しており、解散ができなかった。と、同時に新しい活躍の形を示すことができなかった。

SMAPの末路は、嵐などにも通じるのだろうか。その参考になるのがSMAPの前にいた2つのグループだ。

シブがき隊は解散したあと、メンバーの一人である本木雅弘が表現力のある俳優としてブレイクした。このようにグループ時代の知名度を活かして活躍する道がある。一方で、少年隊は未だに存続しているが、グループとしての活動は行われていない。大きく少年隊に依存する企業がなかったために、活動を段階的に縮小することができたものと思われる。東山紀之はテレビ番組のナビゲータや刑事ドラマの主役として認知されている。

 

 

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