終戦の日に考える – 戦争はいけないことなのか

今日は終戦の日だ。この季節になると、あの戦争は間違っていたというテレビ番組が流される。「軍部の暴走」で始まった戦争は個人の力では止められず、原爆のような非人道的な兵器が使用さえれ、多くの無辜の民が巻き込まれたというストーリーになっている。

きつい言い方になるが、そうした言葉を鵜呑みにする人たちは、自民党を応援してリベラルな人たちを罵倒する人たちとたいして違いがないと思う。大勢が信じることを言っていれば、絶対に賛同してもらえると信じているのだろう。

実は、戦争には経済的な効能がある。平等に生産施設を破壊されるので、格差が是正される効果があるのだ。現在、経済成長が鈍化しているのは先進国で需要が満たされてしまっているからなのだが、戦争は数年に渡る破壊活動は人々の「満たされたい」という気持ちを高める。この結果、大規模な経済成長が生まれ、新しいイノベーションの温床になるのだ。

同じように長年の対立も格差の解消に一役買っている。資本主義経済が比較的うまくいっていたのは、共産主義の脅威に対峙していたからだった。共産主義に触発された叛乱を防ぐために政治家は自国の労働者に分配せざるを得なかった。例えば、日本は共産国に囲まれていたために、社会主義的な分配機能が働いた。詳細に見ると、共産主義に影響された政治勢力があり、そこに票を奪われないために政権政党が分配政策を取っていたのだ。東西冷戦が終わると政権政党には分配のインセンティブがなくなったので「格差社会」が作られることになった。

つまり、現在の低成長や格差は、大規模な戦争や対立を通じて解消しうるのだ。

なぜ戦争を反対する立場から、戦争の効能を考えなければならないのだろうか。私たちは戦争の効能に変わりうる手段を発明していないからだ。資本主義は破壊を前提になりたっている。それが抑止されてしまったことで資本主義の一部が崩れてしまったのである。

では、戦争を代替しうる手段とはどんなものだろうか。

戦争には人を団結させる力がある。この争いを模式化したのがスポーツだ。国家間のスポーツ合戦が今行われているオリンピックである。オリンピックを見ていると世界各地でたくさんの戦争が開発されていることが分かる。なかにはレスリングや柔道のように似たような物もある。英語のWikipediaには操競技のあん馬の起源は兵士が馬の乗り降りの訓練がもとになっているという説が掲載されている。アーチェリーや射撃のような軍事訓練も競技として取り入れられている。

オリンピックは4年に一度、国家が巨大な需要を作り出すプロジェクトになった。オリンピックの要点はそれが途方もない無駄遣いであるということになる。

終戦の日には犠牲になった人々のことを考える日にしたいというのはもちろんなのだが、それだけで終わるのは少しもったいない気がする。戦争はなぜ必要だったのかを考えることにより、新しい発見があるかもしれない。結果的にはそれが新しい戦争を防ぐ知恵になるだろう。

 

SMAP解散に寄せて

昨晩はSMAPが解散するということで大騒ぎだったようだ。NHKは速報まで流したのだという。もともとはサイゾーが流した話だったが、一夜にして事務所発表ということになってしまった。時期を選んでオリンピックシーズンにぶつけたというわけではないかもしれない。

SMAPの経済効果を調べたところ、ファンクラブ(98万人が4000円の会費を払っているそうだ)収入とコンサート収入をあわせて100億円以上あるという。解散によってこれが消えてしまうことになる。

また、最近視聴率の低下に悩むフジテレビも看板番組を失う。12月まで活動するということだが、冷えきっていることが分かっているグループの番組を見たいと思う人は減るだろう。さらに、所属レコード会社であるビクター・エンターティンメントも稼ぎ頭の一組を失う。ビクター・エンターティンメントには他にサザンオールスターズなどがいるのだが、往時に比べると勢いは衰えているようだ。

SMAPが解散に至った直接の原因は、大きくなったプロダクトの一部を壊してしまったことにある。ジャニーズ側としてはマネージメントの飯島氏からプロダクトを分離して、自分たちのコントロール下に置きたいという思惑があったのだろう。しかし、現実には飯島氏はSMAPの一部であって「一緒にグループを育ててきた」という意識が強かったようだ。それを見誤った会社側は少なくとも100億円を瞬時に失うことになってしまった。

事務所側は危機管理に失敗した。関係者を巻き込んで「マネージャーが暴走した」という物語を作ってファンを納得させようとした。ジャニーズのタレントと良好な関係を保ちたいスポーツ新聞各社はあたかもこれが客観的事実のように報道したが、女性週刊誌はジャニーズの報道におつきあいしつつ、たびたび「香取慎吾が仲間内で脱退の話をしている」などと報じてきた。

しかしながら、最大の失敗はプロダクトを発展的に次の段階に持って行けなかったことだろう。アイドルグループは、コンサートで唄わせて、テレビ番組で仲がいいところを見せるという図式しか描けなかった。しかし、フジテレビが27時間テレビで「疲れるまで踊らせる」という企画を組んだ時点でSMAPは「アイドルのパロディー」になっていた。フジテレビやビクター・エンターティンメントという老舗企業がSMAPに依存しており、解散ができなかった。と、同時に新しい活躍の形を示すことができなかった。

SMAPの末路は、嵐などにも通じるのだろうか。その参考になるのがSMAPの前にいた2つのグループだ。

シブがき隊は解散したあと、メンバーの一人である本木雅弘が表現力のある俳優としてブレイクした。このようにグループ時代の知名度を活かして活躍する道がある。一方で、少年隊は未だに存続しているが、グループとしての活動は行われていない。大きく少年隊に依存する企業がなかったために、活動を段階的に縮小することができたものと思われる。東山紀之はテレビ番組のナビゲータや刑事ドラマの主役として認知されている。

 

 

ボン・ジア!

リオオリンピックが始まってずっと気になっていたことがある。それがキャスターたちの「ボンジーア」だ。なんとなく挨拶であることは分かるのだが、発音が「ア」になるのはおかしいのではと思ったのだ。

これ日本人がまじめに発音するのはほぼ不可能らしい。ちなみに綴りは、Bom DIaである。発音記号はこのサイトで確認したこちらではポルトガル語との違いが書いてある。

まず、omだが実際にはoにティルダがついた発音になるようだ。日本語のンではなく母音の一種だ。母音なのにンと聞こえてしまうのだ。「鼻母音」としてフランス語の授業でやらされた人もいるかもしれない。東京外国語大学の説明は悪魔の教典のようである。サンパウロのンなど、ポルトガル語には、この音が多用されるという。音を聞いても、onと区別がつかない。中には表記に引きずられて「口を閉じるン」と解説している人もいた。ちなみに日本語ではサンマのンが「口を閉じるン」だ。が、ティルダのついた母音は口を閉じない。繰り返しになるが、悪魔の発音。

次にDiaだが、いろいろな説がある。ディと発音する地域とヂと発音する地域があるようだ。ポルトガルとブラジルで違うという人もいるし、サンパウロとリオデジャネイロで違っているという人もいた。Asiaのジと違って、破裂が伴うヂである。日本語には(一部弁別する地域があるそうだが)この区別はないのだが、英語圏なのでは全くの別物である。日本人のキャスターはほとんどがジと発音していると「思う」。日本語は区別しないので弁別ができない。だから、なかにはちゃんと発音している人もいるのかもしれない。

しかし、難物はこちらではなくaの音だった。ポルトガル語のaには二種類あるらしい。こちらは閉じたaと呼ばれるそうで、aをひっくり返した記号を使うようだ。Wikipediaは中舌狭めの広母音と呼んでいるようだが、聞いてもよく分からなかった。Wikipediaでは音声サンプルが聞けるのだが、少しくぐもった暗い印象がある。日本語のアより舌を奥に置くようだ。

ということで、ブラジル風に発音しようとすると、ヂで舌を微妙にならしてから舌を引っ込めてアを発音するとカリオカ気分が堪能できそうだ。

ということで、カタカナで書けそうなBom Diaなのだが、実際には正しく発音できたとしても、自分が正しく発音しているかどうかすらよく分からないだろうということになる。

ちなみにカタロニア語ではBon DIaと書くそうだが、oは開いたオの音らしい。nは日本語にもあるンの音だ。Diはディと発音し、aは普通のアである。

捏造される過去とフィルムカメラ

最近、カメラについての文章をいくつも読んでいる。Yahoo!知恵袋などを読むと、マーケットが何を求めているのかが意外に分かるのだ。一眼レフ分野では「初心者だが何を買っていいか分からない」という質問が多い。選択肢が多すぎるのだろうとは思うのだが、意外と「自分が何をやりたいのか」が分かっていない人が多いようだ。やりたいことにより必要なスペックが異なるのだ。

さて、フィルムカメラにも面白い質問があった。それは「どうやったらフィルムカメラみたいな古い写真が撮影できるのか」というものだ。これに対していらだちを募らせる人もいる。

実は15年ほど前には全く別の構図があった。デジタルカメラのセンサーが発達していなかったために「デジタルカメラ=おもちゃ」という図式があったのだ。プロがデジタルカメラを使うなどということは考えられなかったわけだ。

つまり、そこそこの一眼レフ・フィルムカメラを使えばそれなりの写真が撮れていたわけで、フィルムカメラ=古ぼけた写真が撮影できるということではない。これは昭和生まれの人ならたいていは知っていることだ。

古びた写真は、昔の写真の経年劣化だ。退色具合は各色バラバラなので、あのような色あせた写真ができる。もう一つの原因は「ビネット」と呼ばれる四隅が暗くなった写真だ。これはレンズとフィルムスペースが合致しないことで起るのだそうで、スマホカメラではまず起らない現象だ。

この間違った印象に輪をかけたのがインスタグラムなどの写真アプリだ。古びた写真を撮影して「懐かしい感じ」を出すフィルターがいくつも作られており、芸能人発信で広がって行く。すると、カメラの歴史を知らない人たちが「フィルムカメラ=古ぼけた写真が撮影できる」と勘違いしてしまうようだ。

このような思い込みが広がった状態で、古ぼけた写真を撮影しようとして普通のフィルムカメラに手を出す人がいる。そして「あれ、レトロの写真が撮影できないぞ」と言って、ラボなどに問い合わせする人がいるらしい。

一方で、デジタルカメラになって確実に変わったところもある。昔のカメラは自分で光の強さを計ってからカメラを設定する必要があった。しかし、最近のデジタルカメラは、センサーが光の具合を感知して設定を決めた上で、自分で絵作りをしてくれる。こうした機能は高級なデジタルカメラだけでなく、スマホカメラにも搭載されているありふれた機能だ。つまり、最近のカメラでは「失敗作」を撮影するのはほぼ不可能になっている。何でもきれいに撮影できてしまうので、失敗作が作れないのだ。

英語のザ行の音

英語の発音は難しい。LとRよりも難しいのは、ザ行の発音だ。今ひとつ違いが分からなかった。ザ行の音には4種類ある。

  • Zoomなど:ズーム
  • Asiaなど:アジア
  • Thatなど:ザット
  • Gymなど:ジム

このうちThは明らかに日本語にない音なので中学校などでやらされるのだが、あとの3つは曖昧だ。特に分からないのはGymなどの「ヂ音」だ。日本語ではジとヂは同じ発音になる。いろいろな説明があるが、今ひとつピンとこなかった。

ところが、ある説明を読んで「ああー」と思った。Z系の音は息を吐く音なのだが、CHの音はパーカッションの音なのだ。つまり、舌を「ッチ」とならした音だ。これに濁点を付けたのが「チ」音なのである。これが分かると、発音の違いを聞いても分かるようになった。

つまり、今まで「舌を鳴らす・鳴らさない」で音が違うということを意識していなかったことになる。実際には違った音を聞いたり話したりしているのだが、同じものだと「見なして」いたのだ。

なぜか、チップとシップは全く別の音なので、清音では区別しているものを、濁音では区別していないことになる。教育により発音の刈り込みが起きていることになる。とはいえ一度理解すると聞き分けができるようになるのだから、本質的には違いが分かるということになる。

英語を正確に発音しようとすると日本語より舌を忙しく動かすことになる。THのようにいったん歯の間に入れた舌を抜いたりする必要があるものもある。ということは、日本語は舌の動きをあまり意識しないでも話せる言語ということになる。

そのかわりに日本語は喉を忙しく動かす言語だ。母音をあいうえおのように続けて話しても母音が混じらないのは、喉で息を一瞬止めているからである。英語話者にはこのような器用なことはできない。一度単語を発音し始めると喉は開けっ放しである。よくカタカナで英語を話す人がいる。全ての音に母音を付けるのだが、実はわざわざ難しいことをしているのだ。

どんなカメラがよいカメラなのか

一眼レフを買った。もともとは12万円くらいするらしいのだが、中古で4,000円だった。で、買ってからやたらに「これはいいカメラなのか」ということが気になりだした。古道具屋でジャンクとして見つけたカメラがいいカメラだとはどうしても思えなかったのだ。

で、思ったのだが「いいカメラ」って結局何なんだろうか。

もちろん「目の前にある色をそのまま再現できるのが良いカメラなんだよ」という答えがあり得るのだが、これがなかなか難しい問題だ。そもそも、目の知覚というのはきわめて柔軟かつ曖昧なのだ。例えば、画面全域をくっきりと捉えるカメラがよいカメラなのかというと、そういうことはない。対象物だけをくっきりさせたい(これを背景ぼけというそうだ)と思えば、センサーが大きいカメラを使って、明るいレンズを使わなければならない。明るいところと暗いところを両方知覚しようと思えば、その逆にフラット目にする必要がある。なかなか難しい。

そうこう考えていたところ、色の再現性というものが気になり始めた。これが(ちょっと調べただけでも)おかしくなりそうなほど複雑だ。いくつか理由がある。第一に人が思っている色というのは目の前の色とは違っている。これを「記憶色」などと言うそうである。この記憶色に合わせると色合いが派手で輪郭がくっきりした絵になりがちである。しかし、実際の絵というのはそこまで派手ではない。みんな「捏造されたリアル」を知覚しているのだ。このため、よいカメラだと却って物足りなく感じたりすることがあるのだ。キャノンだと複数種類のプロファイルが選べる。派手めのセットとそうでもないセットがついていた。

そもそもなんのために「きれいな色を再現するのだろうか」という問題がある。Yahoo!知恵袋の質問などを見ると、意外とこれを考えていない人が多いみたいだ。例えば、ウェブで使う場合「きれいな色」にはあまり意味がない。モニターによって色が違うからだ。手元には複数のパソコンがある。一応色合わせをしているのだが、モニターの経年変化などにより発色がバラバラで、一つとして同じ発色のモニターはない。よいカメラはsRGBとAdobe RGBが使えるのだが、モニターはsRGBにしか対応していないことが多い。

では、モニターをきっちり設定したらきれいに見えるのかというとそうでもない。目の前にある白は黄色か青に倒れているはずなのだが、たいていの人は気にも留めないだろう。朝と夕方では違って見えるし、蛍光灯と太陽光でも違って見える。日本人はたいてい青色に倒れた白を「白」だと思っていると思うのだが、欧米人は黄色に倒れた白(色温度の低い白)を白だと考える。環境光と知覚の好みは人や文化によって違っているのだ。

どうしたらスマホで撮影した写真をコンビニできれいに印刷できるのかと思い、フジ・ゼロックス(セブンイレブンでサービスを展開している)に聞いてみた。コンビニシステムにはカラーマネージメントはないので、試しに出力してからマッチングしてほしいとのことだ。つまり、一度印刷した上でモニターの色合わせをしろということになる。ちなみにマッキントッシュだと[ディスプレイ環境設定]から[カラー]を選ぶと色のマッチングができる。プロファイルが切り替えできるので、環境にあわせて作業するのも手かもしれない。

市販のプリンターはsRBGにしておくと、カラーマッチングしてくれることが多いようだ。ColorSyncではなく、プリンタードライバー側でカラーマッチングする設定になっていることが多い。それでも特定の色がでなくてがっかりしたという人も多いのではないだろうか。

それでも多くの人は、特定の色の発色具合をそんなに気にしないのではないだろうか。色を絶対的に見ている(絶対色覚)というものはなく、相対的に判断しているからではないかと思う。コントラストをくっきりさせておくと、一般的な需要には耐えられるのだろう。

さて、最初の問題に戻る。どのカメラがよいカメラなのかという問題である。プロユースは別として、結局「どの目的で使うのか」ということが問題になるのではないかと思う。気軽に撮れて記憶色に沿った派手な色合いが好きな人もいるだろうし、思い通りの立体感やぼかし具合が欲しいと思う人もいるだろう。結局「人それぞれ」ということになるわけだが、何がしたいかが分からないと、よいカメラというものは存在しないということになる。

ちなみに今回買ったカメラは、ライブビュー(ファインダー代わりにモニターを使う)ができない。WiFiやGPSもついていない。仕上がりを確認するためにいちいちパソコンにCFカードを差し替えるのは意外に面倒である。さらに筐体がプラスチックでなんとなく安っぽい。発売当時に価格を抑えるためにあえてプラスチックにしたのだそうだ。

それは美しい伝統なのか、それとも単なる奴隷制度なのか

あなたは生まれたときから将来の身分が決まっています。逃げることはできません。父親が死んだらあなたがその地位に就きます。将来あなたは影響力はある地位に就く可能性があるのですから、自分たちの将来を決めるような意思決定には関わることはできません。あなたがその身分から逃れることができるのは死んだときだけです。辞めるなんて許しません。お前に(いや失礼あなた様に)選択の余地はありません。

あなたはそれが気に入らないかもしれませんが、あなたの祖先がそうだったのだから、仕方がありません。諦めてください。というか、いや何もいうな。いや……その、仰らないでください。

生活保護はしてあげます。そのかわり無駄遣いだと思ったら、いろいろと文句を言いますから、覚悟しておいてください。特別な家にお嫁に入ったんですから、好きなときに買い物に行ってはいけません。贅沢だといって叩きます。実家に帰るのもいけません。実家で何か吹き込まれるとこまるでしょ。お父さん、偉いかたなんですよね。

仕事は山ほどありますよ。ただ、笑って手を振っているだけの簡単なお仕事じゃないですか。なんで満足にできないんですか。適応障害ですか。あんた、甘えているんじゃないのか。男子が生まれない。おおごとです。子供を産めないなんて、一人前じゃありません。

嫁が苦しんでいても文句を言ってはいけません。いや、匂わせるのもけしからん。いいですか。あなたのお仕事は、ただ笑って手を振るだけなのですよ。

女の子は結婚したら自由にしてあげます。いいや、人手不足だからそのままの地位にいてもらおうかなあ。でも、特殊な生まれなんだから、外に出てもひっそり騒ぎを起こさないように暮らしなさいよ。その点、旦那にもよく含んでおけ。いや、お伝えください。

いいですか、あなたたち。これが日本の美しい伝統なのです。あなたたちをかごの中に閉じ込めているから、私たちは思う存分美しい伝統に耽溺していられるのです。逃げ出すなんてとんでもない。考えるのもいけません。私たちが考える国体が台無しになってしまうじゃないですか。お城が崩れてしまうではないですか。

いいですか、あなたたちだけが犠牲になればいいのです。その他大勢が、甘い夢に浸れるのですよ。主人のいない神殿で、私たちだけが代理人として振る舞えるのです。私たちの尊厳はあなたの犠牲のうえに成り立っているのです。それを台無しにすることは、私たちが許しません。絶対にそれだけは許しません。

あなただけの問題ではありません。未来永劫あなたの子孫も同じ暮らしを受け入れなければなりません。

EXILEのダンスとジャニーズのダンスはどこがちがうのか

テレビ東京で4時間の音楽番組をやっており、そこにEXILE系のグループ「EXILE SECOND」が出てきた。常々、EXILE系の人たちの踊りはジャニーズと違っていると思っていたのだが、何がどう違うのか分からない。Yahoo!知恵袋で聞いてみたのだが、そもそもこの話題に興味がある人もいないらしい。体系的な研究はないようだ。

ジャニーズのダンスは伝統的な「歌謡曲ダンス」らしい。曲全体に流れがあり、動作が止まらない。源流をさかのぼるとバレエに行き着くのではないかと思う。全体的に優美に見える動きが多い。一方でEXILEのダンスには直線的な動きが多く、動作に切れ目があるようだ。リズムによるメリハリが付く。偏見だけでいうと「ストリート」というか「アフリカ系」の踊りなのではないかと思う。キーワードが断片的に浮かぶだけなのだが、ランニングマンはヒップホップであり、ヒップホップにはアップとダウンという二種類の相があるということである。あまりにも雑駁な感想なのだが、リズム重視なのは間違いがなさそうだ。

EXILEのダンスは組体操のように見える。日本人は生真面目なので、直線的なダンスを揃えてしまうのだろう。多分、アメリカ人はそこまで集団でダンスを揃えるという発想を持たないのではないかと思う。三代目 J Soul Brothersのダンスを見たが威圧的なのも特徴だ。足を大きく踏ん張って相手を脅かしてみせる動きが多い。これもストリートの影響なのではないかと感じた。

意外なことに踊りに着目すると、最近のジャニーズはあまり踊らないらしい。関ジャニ∞のダンスは途中で切れていた。昔のジャニーズのダンスがデザイナーが制作したブランドものの服だとすると、最近のジャニーズの踊りはカジュアル服のようだ。パーツパーツは印象的だが、全体としてはまとまりのない「振り」がダンスの代わりに使われている。

これが当たり前になると、却って本格的な踊りが時代錯誤に見えるようだ。なぜかSMAPはテレビ東京の番組には参加しないのだが、木村拓哉がきれいにダンスをすると「古くさいなあ」と思われたのではないかとすら思う。

かといって、ダンスのカジュアル化はジャニーズの踊り手が「ダンスができなくなった」ということを意味しないだろう。国分太一は普段は踊らない(キーボードなので踊れない)のだが、シブがき隊の一員として昔風のダンスをこなしていた。その他のジャニーズメンバーも基礎があって崩しているというところなのではないかと思う。

一方、その対極にいるのがAKB48グループだ。そもそもかわいい動作をさせることに力点が置かれている上に、ダンスの基礎もなさそうである。日本のダンスはこうした人たちでもそれなりに見せられるように進化してきたのではないかと関心した。

その点、E-Girlsは、胸を強調してみたり、足を開いてみたりと、大きくセクシーに見えるような動きが目立つ。体のコントロールという意味でも難易度は高そうだ。

ただし、日本人は男性も女性も幼形成熟を好むという印象がある。このE-Girlsはどのようなターゲットを意識しているのかよく分からない。男性が大人の女性を恋愛対象にするとは思えないし、かといって女性がE-Girlsのダンスをまねるのもなかなか難しそうである。

いずれにせよ、日本のダンスがどのような体系と歴史を持っているのかについて研究した人は多くなさそうだ。調べてみると面白いのではないかと思うが、多分踊れる人は実際に真似して踊ったほうが楽しいのかもしれない。

違法ではないが一部不適切なチャールズ皇太子

アメリカのタブロイド紙グローブが5月にチャールズ皇太子のキス写真を掲載した。チャールズ皇太子はダイアナ妃と結婚していた間、カミラ夫人と不倫関係にあったことで知られている。また、浮気をしたのかとうんざりさせられる写真だ。

エリザベス女王はたいへん立腹しており、ウィリアム王子に王位を継がせたいと考えており、カミラ夫人は離婚して多額の慰謝料を請求したいと考えている、とグローブは伝えている。

ただ、この写真には別の問題もある。チャールズ皇太子がキスをしている相手は、女性ではなく男性なのだ。この写真が本当だとすると、チャールズ皇太子は「同性愛者」もしくは「バイセクシャル」ということになる。

こうなると話は一気に複雑になる。ヨーロッパでは同性愛者が結婚する権利というものが認められつつある。パワーゲイと呼ばれる経済的に成功している人たちがいる。「王様にはゲイはふさわしくない」というのは、主張としては受け入れがたい。しかし、自分たちの王様としてゲイを尊敬できるのかという問題もある。他人の家庭がどうであろうと知ったことではないが、自分たちの問題となると心情的に受け入れられないと考える人もいるということになる。

タブロイド紙が伝えているだけであり、日本では大きな問題とは見なされていないようだ。

ゴッタルド基底トンネル

青函連絡トンネルが世界一でなくなったということに焦点が当たったゴッタルド基底トンネルのニュース。だが、知りたいことが欠けていたので調べてみた。それは「どうやったら通れるのか」というものだ。

チューリッヒからミラノに抜けるのがスイスからイタリアへのメインルートだ。この途中にアルプスがある。どうやら全ての列車がゴッタルド基底トンネルを通るようだ。乗客を乗せた本格的な営業運転が始まるのは2016年12月ということだ。営業運転が始まると3時間40分程度で抜けることができるようになるらしい。ヨーロッパの鉄道は日本から日本語で予約することができる。ただし、予約ができるのは秋頃になるらしい。

日本から行く場合には、飛行機でチューリッヒまで行き、ミラノから日本に戻る必要がある。そのような航空券をオープンジョー(開いたアゴ)といい、日本で予約できる。格安なものだと60,000万円くらいからあるのだが、アラブ首長国連邦のどこかの都市で乗り換える必要があるらしい。ヨーロッパに行くのに丸一日かかる。

とはいえ、よく考えてみるとトンネルを通っても景観がよいわけではないので、別にうれしくもなんともない。スイスの鉄道旅行といえば、ユングフラウ鉄道とかベルニナエクスプレスなどの観光列車だ。ところがこの2つはスイスの東西に離れていて、全部をうまく回るのはなかなか大変そうである。チューリッヒからサンモリッツに行きベルニナエクスプレスに乗りイタリアのティラノに行き、そこからスイスのルガーノに戻り、ルツェルンまで戻りインターラーケンを目指すという行程が考えられる。

ただ、観光列車が発達していて、ツェルマットからサンモリッツへ抜ける急行列車などを利用することができる。

swiss

スイスは東西南北ヨーロッパの要衝になっているので、鉄道を使うと、フランス、ドイツ、ベルギー、イタリア、オーストリアに抜けることができる。リヒテンシュタインのファドーツに行くにはバスに乗り換える。

ニュースの中にはゴッタルドトンネルと言っているところもあったのだが、ゴッタルドトンネルは既に開通している。今回はさらにその深いところを通るトンネルを作ったのだそうだ。それで「基底トンネル」という名前が付いている。総延長距離57キロメートルで20年の歳月と1兆3000億円をかけたビッグプロジェクトである。そこまでしてトンネルを通したかったのは、この地域が交通の障害になっていたからだということだ。イタリアからスイスに抜けるルートはドイツやフランスまで続いている。物流上のボトルネックになっていて、トラック渋滞が慢性化しているのだそうだ。地域の環境保全にも良くくないためにトンネルの掘削を選択したのだという。

ドイツからスイスを通りイタリアに抜ける鉄道が構想されているが開通は早くとも2020年の見通しということだ。