先日来「一般人同士が議論することは難しい」ということについて考えている。これについて考えるようになったにはあるTwitterの@ツイートがきっかけだ。どうやら「言葉の使い方が間違っている」という指摘をされた人が逆上し、ことあるごとに指摘した人につっかかるようになったということらしい。その突っかかり方は尋常ではなく、2ちゃんねる(もしくはそれに似た掲示板)では職業が特定された上で「障碍者枠で採用された知的障害者」ということになっていた。攻撃されたTwitterアカウントは実名で、攻撃した人のアカウントは凍結されていた。
Twitterで他人と話すときには街で話すのと同じようにしたほうがよいとは思う。街で通りすがりの人に「あなた間違っている」というようなことは言わない。かといって通りすがりの人と会話を交わしていると仲良くなったりもするわけだから、そうやって関係をつめてゆくのがよさそうだ。
しかし、だからといって炎上が防げるわけではない。その2ちゃんねるはもともと反政府系の主張をする人をこき下ろす場だったのだが、それが拡大して対象になった有名人に絡んだ人たちを巻き込んでいったらしい。2ちゃんねるは一般に認知されるわけではない。吹きだまり化が進展し、発言がどんどん過激になり、最終的には妄想に似た決めつけになっている。こうした書き込みでは社会的報酬は得られないので、書き込みがどんどんと過激化するのだろう。多分社会的報酬が得られないことにも腹を立てているのではないか。
一般人が「住所や職業などを特定される」と生活の脅威を感じかねない。刑事事件として取り上げてもらうようにスクリーンショットを取って警察に訴えるという手があるらしいのだが、警察は特定の要件が整わないと取り合ってくれないそうだ。例えば「あいつは殺人犯だ」とか「あいつを殺してやる」などといった書き込みであれば警察は動くが「女とみれば見境なしだ」などといった程度では事件化できないのだという。親告罪なので告訴する意思が必要である。
警察が取り上げてくれないと民事事件にして弁護士に頼むという手があるようなのだ。これには数十万円の費用がかかる。いくつか弁護士事務所のページを見つけたので、お金を払ってでもやめさせたいという人が多いのかもしれない。それだけ中傷が多いということである。有名人や企業の場合、書き込みは商品価値に直結するので、お金を出してでもやめさせるということになる。ただしIPの開示請求に応じる必要はなく、技術的には「ログが削除された」と言われればそこでストップだ。
となると「悪口を言われる実害は何だろうか」と考えるのが一つの手かもしれない。2ちゃんねるは社会的な影響力のない中高年の集まりなので、実害は少ない物と思われる。言葉は過激かもしれないが、行動に出る人は少ないのだ。ただし、その書き込みをみて誰かが襲撃をかけてきたり、あるいは悪い風評で経済的な実害が出れば、それは犯罪行為ということになる。それまでは放置するべきなのかもしれない。逆に普段から「書き込みを監視すべきだ」という意見を持ちたくなるが、却って政府の監視が強まる結果になるだろう。
最近では大分県で野党系の事務所の敷地に無断で監視カメラを設置したとして警察官が書類送検された。大分は民進党や社民党が強い地域なので、警察が暴走したものと思われる。多分、ネットの監視ができるようになれば違法なアクセスは増えるのではないだろうか。
2ちゃんねる(あるいはそれに類する掲示板)に書き込んでいるのは、多分40歳代から50歳代の人たちだろう。中身の傾向を分析しようかなあと思った。一応データマイニングみたいなことはできるわけだが、読んでいてあまりにも気分が悪くなったので途中までしか読めなかった。普段の生活で理路整然と考える習慣がないまま大人になるとこんなにもグロテスクな思想を溜め込むのかという意味ではかなりの驚きがある。
少なくとも高校の過程で、自分の考えを短い文章で述べさせるという教育をしたほうがよいと思う。現在は体制側がこうした人たちを抱き込んでいるのだが、多分過激思想にも簡単にはまってしまうだろう。まさか「国語教育は国の安全保障に直結する」などという結論に至るとは思っていなかった。