さっき別のエントリーを書いたばかりなのだが面白いのをみつけたので連投する。
LDP told lies to the nation to win the election in 2012. This is one of the reasons why I am against TPP.#StopTPP pic.twitter.com/zK3FGncAYc
— 徳さん 米軍基地NO!辺野古を守れ (@tokudasu) 2015年10月4日
面白いと思ったのは英語が日本語的だったからだ。本来なら、I am against TPP because LDP deceived us to win the 2012 election.となるところである。文章が一文で済む。英語は簡潔を好むのだが、日本語は短い単語数で多くの情報を詰め込めるので、長くなる傾向があるのかもしれない。「嘘をついた」より「騙した」の方がかっこいいので、ビジネス英語ではボキャブラリは大切だ。
もうひとつ言えることは、英語が主題を分析する傾向がある言語ということだろう。つまり、自ずと問題はTPPにあるという認識が生まれてしまう。
しかしなぜ、この日本人の英語の文章は自民党が嘘をついたからという文章が先に出ているのだろう。これを読んで直感的に感じた違和感はそこにある。英語を素直に読むと「自民党が嘘をつかなければこの人はTPPにどういう態度をとっていたのだろうか」という疑問に結び付いてしまう。つまり、TPPは良く知らないのだが、自民党が嘘をついたからダメなのだということになる。つまり、英語は主題を問題にするのだが、日本人は関係性を問題にしていることになる。
この人の政治的バックグラウンドは分からないが例えば民主党が主導したTPPであれば賛成したのかもしれないし、そもそもTPPそのものが嫌だったのかもしれない。もし、自民党が正直に話をしていたらTPPについてどう思っていたのだろうか。
これを英語圏で発言したら変な顔をされるのではないだろうか。実はTPPそのものについては何も言及されていないからである。たとえば「仕事が奪われるからTPPはダメ」だというのはわかる。これは議論の対象になる。ところが自民党の言うことは信頼できないということになると、議論はできない。それはその人の主観だからである。
自民党に視点をを与えて、英語的な構造に直すと次のようになるものと思われる。かなり穴埋めが必要になる。
自民党は2012年の選挙で嘘をついた。地域の有権者にとってTPPには利益がないことを知っているからだろう。にもかかわらず今になってTPPを推進しようとしている。多分、TPPが日本の地域にとっては利益にならないのだろう。だからTPPには反対だ。
だが、下にあるポスターを読むと、自民党が嘘をついたということが複雑な英文で延々と書かれている。だから実際に言いたいことは次のようになる。
LDP have been changing their position frequently. So I can’t trust LDP.
つまり、面倒臭いことをいろいろ分析してきたのだが、本当はTPPは関係がないので全て省かれてしまう。自民党がオポチュニストだから嫌いということになる。もともと自民党不支持なので、それ以外のことをいちいち説明する必要はないのだ。
たまたまこのツイートに目が止まったのは、英訳されていたからだろう。実際にはよくあるツイートだ。日本人が議論ができないのは、実は主題が主題ではないからなのだ。