高齢者が好む読み物、若者が好む読み物

先日来、高齢者のページビューが増えたので動向を分析してみた。若年層は情報収集をモバイルに頼る傾向があり、モバイルを辞書代わりに使っているようである。年齢が上がるに従ってモバイルの依存率は減り、PCの依存率が増える。また「週刊誌的(読み物的)」なコンテンツへの人気が高まるようだ。また、若年層はタブレット機器を持っていないが、それ以降の年代では率に変化はなかった。

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ブラウザの分布についても見てみたが、特に年齢による違いは見られなかった。意外とChromeが使われている。高齢者だから全てデフォルトのブラウザーを使っているというわけではなさそうだ。

一般的にインターネットの利用率は60歳代を境に減少すると言われている。また、所帯年収が下がるとパソコンの所持率は減る。つまり、貧しい世帯の老人ほど情報から取り残される傾向があるということになる。しかし、今回の動きでわかったように、Twitter上に高齢者が全くいないというわけではない。高齢者も、Twitterで有名人をフォローして情報収集をしているのだ。

全世代に読まれているもの

ウィリアム・ジェームズ(死にたくなったら)は全世代に読まれている。悩んでいる人は全世代で多いらしい。

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科学的なものに弱い若者

若者は辞書や実用書代わりにウェブを利用している。MBTI(INFJ)、不適切な敬語(やらさせていただく)について、ボーダー柄を着ると錯視が起こるというファッションの話、理系脳は共感が欠落しているという話、立ち泳ぎの練習方法などが若者に読まれている。特徴として「科学的」なフレーバーに弱い。言い換えると、若者は理由付けを必要としている。一方で政治問題への関心は高くない。0001 0002 0006 0010

若者と中年が均等に含まれるもの

政治問題になると壮年期の人たちの流入が増える。若者も一定数含まれる。なんとなく「週刊誌っぽい」ものが好まれるようである。TVニュースをソースにしているような印象がある。

フジテレビで安倍首相が生肉の模型を使って国民を困惑させた話、甘利大臣が陰謀で陥れられたという話、山本太郎議員はバカだという話、フジテレビで奥田愛基氏がTVで田崎史郎さんいディスられたという話。

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二重ルーターの設定に悩んでいる中年も多いらしい。ゲーム機などの設定に困っているのであろう。立ち泳ぎの練習法も幅広い読者層から人気がある。品質管理が得意という嘘についても壮年層の閲覧が高かった。

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中年だけが見ている記事

江川紹子さんのTwitterフォロワーは中年が多いらしい。理由は分からない。孫崎先生のフォロワーは高年齢の人が多いのだが、この2例から中高年は有識者の影響を受けやすいことが伺える。

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政治に興味があり、若者を嘆く老人

若者は政治に参加しないという話は老人のアクセスが多かった。これはほとんどが孫崎享氏のフォロワーだ。かつての全共闘世代が多く残っているのかもしれない。政治に興味がありかつて「改革意欲」に燃えていた人たちだが「政治を変えるにはまず自らが変わらなければならない」という記事には注目が集らなかった。さすがにある年齢を越えてしまうと変わるのは難しいのだろう。革新の高齢化・保守化が進んでいる様子が伺える。

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池田信夫さんはマックを使うといいんじゃないか

どうでもいいといえばどうでもいい話なのだが、池田信夫さんがLENOVOのパソコンについて怒っている。どうやらOSをアップデートしようとしたところ、不具合が生じて、最終的にデータが吹っ飛んだのだという。そこで中国は信用できないと息巻いているのだ。

いや、LENOVOのパソコンはいいパソコンですよ。作りが単純で頑丈なので持ち運びに気を使わないし。HDやメモリの入れ替えなどのメンテナンスも楽だし。メモリやSSDも安くなっているので、改造のしがいもある。個人的には中古で買ったので「安いのによくここまで動くなあ」と思った。

とはいえ、OSを入れ替えたらデータ吹っ飛んだというのは、さすがに引くなあ、とは思った。確かに、OSをアップしたらタッチパッドとか無線LANが動かなくなったという話はよく聞く。LENOVOのウェブサイトに案内されている方法ではだめで、手動で直したという人が多い。これ、中国(LENOVO)のせいというよりはアメリカ(マイクロソフト)のせいだろう。

OSの切り替え時にパソコンを買い換えたのもよくなかった。どのOSでも切り替え期の新製品は人柱だ。問題が枯れてから価格COMなんかで評判を見て買うのが正しい方法だろう。

いずれにせよ、OSを入れ替えるのにバックアップ取っておかないっていうのが「狂ってるなあ」と思う。Macにはタイムマシーンという方法があり、外付けのハードディスクに取ったバックアップから復旧できる仕組みが整っている。だからOSを入れ替える前にタイムマシーンするのがお決まりだ。デスクトップPCであれば、複数のハードディスクに違うバージョンのOSを入れておくこともできる。最悪データが吹っ飛んだらネットでリカバーできる仕組みもある。高いといわれるMacだが10万円を切るminiというカテゴリがある。(Mac Miniについては別途調べた。その記事はこちら

一方、Windowsはバックアップを取るのが意外と面倒だ。

さらにWindowsで驚くのが「クリーンインストール」という言葉である。Windowsパソコンが重くなったというと、お決まりのように「できればクリーンインストールを」と言われる。最初はからかっているのだろうと思ったのだが、どうやらそうではないらしい。相手は真顔だ。しばらく使っていたら重くなって復旧できないなどというのはMacintoshの世界では冗談でしかない。

手持ちのXPパソコンをWindows10にした人もいるらしいのだが、XPからWindows10にするためにはクリーンインストールしか手がないのだそうだ。古いパソコンは捨てて新しいの買ってくれという意味だとは思うのだが、あまり便利でもないし、クールでもない。

池田さんは動画の編集をしなければならないので、49,000円のパソコンで一番早そうなやつを買ったとのことだがが、Macであれば最初から動画編集などができるツールを揃えることができる。素人が使っても使いやすいようにインターフェイスが工夫されている。他社製品と組み合わせる必要がないので、ドライバーも安定している。

ということで、池田信夫さんはDELLなんか買わずにMacを導入すべきなのではないだろうか。しつこいようだがMacが欲しくなった方はこちらもごらんいただきたい

XPパソコンとUbuntu

最近、リサイクルショップにはたくさんのノートパソコンが売られている。価格は2000円から5000円程度である。なぜ安値で売られているかというと、OSがサポートされなくなったWindows XPだからである。性能はまちまちだが性能的にはまだ使えるものも多い。

こうしたパソコンがサポートされていないという理由だけで使えなくなるのはもったいない。そこで登場するのが無料OSのLINUXだ。最近はUbuntuというのが人気らしく、パソコン関係の雑誌売り場にもガイドブックが出ている。Ubuntuは南アフリカの言葉で「思いやり」を意味するとのことだ。

Ubuntuも当然永久にサポートされているわけではないのだが、Windowsに比べるとインストールしている人が少なくウィルスに狙われにくいと考えられている。そのため、古いパソコンで使っても安心だとみなされているようだ。

2008年ごろに作られたNetnote用にはバージョン9や10あたりが使えるようである。小さな画面用に改良されたバージョンもある。ブラウザーとしてFirefoxが使われており、既存のWindowsやMacintoshとの設定共有ができる。メールソフトやOfficeライクな文章作成ソフトもある。これらはすべて無料である。中古パソコンを手に入れて目いっぱいメモリなどを積みましたら、ソフトウェアはすべて無料で揃えることができるのだ。国際化されているので日本語も問題がないということである。

もちろん問題もいくつかある。AppleはLinuxをサポートしていないらしく、iPhoneとの接続がうまく行かないという。iCloudで連携することはできるのだが、バックアップやバージョンアップなどの作業をしたい人は最新版の「普通の」パソコンが必要だろう。iTunesもないので、音楽や映画をAppleから買っている人は使えなくなってしまう。Googleも2016年には32bit版のサポート(と同時にXPのサポートも)を打ち切るようだ。最新版のChromeを使い続けたければ新しいパソコンを買う必要がある。Google Driveはブラウザー経由で使えるようだ。

簡単にインストールできるようになったとはいえ、やはり初心者の敷居は高い。まずファイルを落としてきて、それをCD(最近のバージョンはDVD)に焼きインストール作業をしなければならない。WIndowsやMacOSの環境を残したいと思うとさらに設定が必要で、これを間違えるとOSの起動ができなくなるそうだ。ちょっとした気力があるとできそうだが、XPもそれなりに動作している(とりあえず、今のところはFirefoxとChromeが使える)ので、なんとなく「いよいよ使えなくなったらやろうかなあ」という気分になってしまう。

なお、OSを変えてしまうとパソコンメーカーのサポートを受けられなくなるので、メインのパソコンではやらないほうが無難だ。設定して動かなくなるとGoogle先生と首っ引きになることは間違いがないので、まともなパソコンは一台確保しておくべきだろう。

不倫が責められるとき・責められないとき

自民党甘利明議員の場合

誰がどう見ても口利き事件なのだが、秘書が責められただけだった。国民の前で泣いたことで「はめられたかわいそうな代議士」という印象がついた。大臣は辞職したが議員辞職はしなかった。検察当局も事件化には後ろ向きと言われる。URは補償額をもらしたことは認めたものの、つい口が滑っただけだと甘利議員をかばった。

民主党細野豪志議員と山本モナさんの場合

あまり顔の売れていなかった細野議員にはお咎めはなかったが、知的なのに親しみやすいキャラクターで知られていた山本モナさんはニュース番組を「体調不良」を理由に降板した。後に細野議員は民主党の重鎮になった。山本さんは後にプロ野球選手の二岡智宏さんとの不倫報道があり再び謹慎した。

川谷絵音さんとベッキーさんの場合

音楽業界では有名だが一般に顔の売れていなかった川谷さんにはお咎めはなかったが、元気印で好印象だったベッキーさんはすべての番組を降板させられ、CMもおろされた。当初川谷さんは結婚していることを知らせずにベッキーさんと付き合っていたということなので、川谷さんの方が悪いように思えるのだが、世間はそう考えなかった。

自民党宮崎謙介元議員の場合

お相手のタレントさんが無名なこともあり、お咎めはなかった。しかし、見た目がよく「育児休暇発言」で好印象だった宮崎議員は議員辞職に追い込まれた。宮崎議員は育児休暇発言が取り上げられるまでは無名だった。無名のままであれば週刊誌に狙われることはなかっただろう。

観察

日本では、公的な議員の汚職問題よりも個人のプライバシーに属する不倫の方が悪いことだとされる。「何をなすか」よりも「誰がなすか」という文脈重要だからだろう。

必ず男性が咎められるというわけではなく、有名な方が責められる傾向にあり、両成敗ということにはならない。不倫は社会的バッシングの対象になるのだが、社会的制裁は1人に向かう。その人を社会的に殺すことで、怒りが開放されるようだ。このことから不倫バッシングはマスによる社会的リンチだということがわかる。マスは「マスコミ」ではなく、視聴者や有権者を含む。

さらに考えてみると「イメージ」を損なった人が責められる傾向にあることがわかる。よいイメージがついている場合には何事も大目に見てもらえる。ベッキーさんの例でもわかるように「この人はいい人そう」というイメージには高い金銭的価値がある。社会的制裁は不倫そのものに向いているわけではなく、パブリックイメージが毀損されることで引き起こされていることがわかる。

結論

日本人は文意ではなく文脈で判断する。つまり何を言ったかではなく、誰が言ったかが重要だ。いったんよい印象をも持たれると経済的なベネフィットがある。しかし、好印象には大きな担保が設定されている。村社会で作られた印象を裏切ると社会的に殺されるまでの制裁を受けるのだ。

高市さん、試しにTVの電波を止めてくれないかなあ

高校生になる息子が不思議そうな顔で聞いてきた。「ねえ、お父さん。さっきNHKっていう人が来てお金を払えっていうんだけど、あれは詐欺じゃないかなあ」

私は「どうしてそう思うの」と聞いた。

「だってNHKなんて聞いた事ないし、TVを持っている人はみんなNHKにお金を払わなきゃだめっていうんだ。そんなの詐欺だよねえ」

私はちょっとびっくりした。息子はNHKを知らないのだ。それも不思議ではない。我が家は光ファイバーでオンデマンドの番組を見ている。息子は自前のタブレットを使って、子供部屋で映画や音楽の番組ばかり見ている。たまにはTVの大画面でゲームに付き合って欲しいのだが、いつもつれない返事ばかりだ。

息子が小さい時にTV番組を見せようとしたのだが「アンパンマンを検索して」と言って泣き出してしまった。「TVではそんなことはできないよ」と言ったのだが、理解できなかったようだ。

私もちょっといけなかったのかなと反省した。TVはおもしろくないのでそんなに見ないのだ。いつそうなったのかなと思ったのだが、よく思い出せなかった。たしか、高市早苗総務大臣がTBSかどっかの電波を「政治的中立性がない」という理由で止めてしまったのがきっかけだったと思う。TBSの社長が土下座して高市さんに謝ったというのを週刊誌報道かなんかで見た記憶がある。

萎縮したTV局はその後、政府批判をしなくなった。コメンテータはいなくなり、どの局も政府の発表をそのまま流すようになったのだ。ニュース番組の後には安倍首相が各地を訪問する映像を流すようになった。

そういえば、ジャニーズ事務所が人気で視聴率も取れるというので、バラエティもジャニーズを礼賛する番組ばかり流していたなあ。同じような顔のタレントばかりが並び「TVってつまらないなあ」と思ったのだ。でもおじさん、おばさんたちの世代は好んでバラエティ番組を見ていた。感覚的には戦後すぐの人たちがニュースを映画館で見ていたような感じなんだろう。

家を建てた時もアンテナを設置しなかった。光ケーブルを引いたので、オンデマンド番組が見られるようになったからだ。光ケーブルだと、わざわざ録画しなくても帰宅してからニュースを検索で見られる。そのうち、Yahoo!ニュースでチェックしてから関連するニュースだけを見るようになってしまった。

昔の人は新聞を一紙しか取らず、TV局も数チャンネルしかなかったと聞く。そんな偏った情報だけで怖くなかったのかなあと思う。

「ねえ、NHKって何」と息子が聞くので「ああ、TVの放送局だよ」と答えた。すると息子は「でもTV放送って貧乏な人が見るもんなんでしょ。学校で友達が言ってた」と驚く事を言う。

確かに、光ケーブル網が発達してパソコンから情報を仕入れる人が増えた。録画機はなくなり情報家電回りはすっきりした。家にネットを引かずパソコンを持っていない人もスマホを大きなモニターに映して見ている。TVしかない家庭というのは、そういう所得の家庭なのだ。

「お前、学校では絶対にそんなこというなよ」私は息子に釘を刺した。そんな差別的なことを表立って言ってはいけないのだ。

今時政府公報のNHKの情報だけを信じている人など誰もいないだろう。そもそも、情報弱者だと言われかねないから、表立ってNHKを見ているなどは恥ずかしくて言えないのだ。

息子のバカな質問に答えながらスマホを弄っていると新しいニュースが入ってきた。視聴者を光ファイバー網に取られて受信料が取れなくなったNHKがまた放送時間を短くするらしい。紅白歌合戦や大河ドラマなどお金のかかる番組はとっくの昔になくなり、4月からは昼と夜に1時間づつ政府広報だけを流すようになるみたいだ。

馬鹿な左翼が増えたのはGHQのせいかもしらん

石井孝明さんというジャーナリストが「頑迷な左翼が増えたのはGHQの教育プログラムのせいかもしれない」と仄めかしていた。GHQのは日本の教育を改悪して考える力を奪ったのだそうだ。頑迷な左翼が多いこと自体は否定しないが、日本の矛盾をすべてマッカーサーのせいにしても問題は解決しないと思う。いずれにせよ、面白そうなのでカウンターを考えてみた。

アメリカに住んでいたとき、カフェのテレビで討論番組をみていた。討論番組では福音派の男性が「子供を学校に通わせない」といきまいていた。学校で進化論を教えるからだそうだ。嘘を教える学校に子供を通わせることはできない、というのが彼の主張だった。周囲の人たちが「化石が出ているから進化論のほうが信憑性がある」と言っても頑として聞き入れない。次第に討論はエスカレートしてゆき福音派の男性は怒鳴り始めた。私は悲しくなりカフェのマスターに「なぜアメリカにはこのような頑迷な人が多いのか」と嘆いた。するとユダヤ人のマスターが面白いことを教えてくれた。

その昔、マッカーサーと言う人がユダヤの資本家たちつるんで、アメリカ人がものを考えないように教育プログラムを変えたんじゃ。科学的な教育をなくせば、アメリカ人たちは合理的な思考力をなくして喜んで企業のために働くようになる。自分たちの権利ばかりを主張してまとまらなくなるから労働運動もつぶせる。それが「この国の自由」の本当の意味なんじゃよ。

僕は「なるほど」とひざを打った。「テロで殺されるよりも多くのアメリカ人が銃で殺されているのに、誰も銃規制を訴えないのはアメリカ人が合理的に思考できないからなんだ」。マスターは否定も肯定もしなかったが、なんとなく肯定しているように思えた。

これが妄想だといいと思うのだが、頑迷なアメリカ人が多いところを見ると案外真実が含まれているのかもしれない。

というか、これは完全に妄想だ。頑迷なアメリカ人は多いことは確かだが、マッカーサーとは全く関係がない。もちろんアメリカには優秀な人たちも大勢いる。同じように日本で教育を受けた優秀な人もたくさんいるわけだ。「自由と権利」についても同じで、うまく活かせない人がいる一方で、立派に国のために尽くす人も多い。中には国のために働いて、戦争で四肢を失ったり大怪我をしたアメリカ人もいるのだ。

このエントリーを書いていて、大学生の元ルームメイトにたびたび聞かされていた言葉を思い出した。Stupid Americans(馬鹿なアメリカ人)という言葉だ。大量消費に明け暮れて物事を真剣に考えないアメリカ人を指す言葉である。彼はイランからきた移民の息子だった。LAにはお金持ちのイラン人がたくさんいるが、そうでない人たちも大勢いる。

左翼って馬鹿だなあと考える日本人と同じように、アメリカ人って馬鹿だなあと思うアメリカ人もいるのだ。単に馬鹿だと思っているうちはいいのだが、それが別の感情に変わることもある。

彼は大学でイスラムサークルにはまり、だんだん過激なことを言うようになった。最後には「一神教を信じない人とは暮らせない」と言われて追い出された。僕がアメリカにいたのは9.11のずっと前だが、こうしたルサンチマンが蓄積してやがてホームグローンと呼ばれる人を生み出すことになったのだと思う。自分以外は堕落している。それは教育が悪いからだ、自由が悪いからだ、というのはどこの国でも聞かれる言葉なのだ。

もちろんすべての人がそうなるというわけではないのだろうが、他人の自由や権利を恨む意識の中からやがて過激な方法で他人の自由を奪ってもよいと思う人たちが出現することがある。アメリカは徐々に不自由な国になりつつあるが、誰もその傾向を止めることはできない。「どこにでも安全を脅かされずに自由に出かけて行ける」という当たり前のことを平和で幸せな日本人はもっと自覚する必要があるのではないかと思う。

失うまでは気がつかないのかもしれないが。

i-dioとNOTTV

無料モニターに応募していたi-dioのwifiチューナーが届いた。携帯電話にアプリをダウンロードして使うのだそうだ。3月に放送開始ということで今は何もできない。普通、本格放送前にベータテストくらいやるものなので、本放送開始がそのままテストになるのだろう。開始一ヶ月前を切ったのにアプリもまだ完成していない。なんとものどかな話である。

CIMG7990i-dioのサービスはそれでも先の失敗に学んでいるらしい。失敗とはNOTTVのことだ。NOTTVはVHFアナログ放送の跡地を独占するためにNTTが始めたサービスだった。外資の参入を怖れた政府がNTTに引き取らせたと言われている。結局、コンテンツプロバイダが表れずにNTTと民法連が作った会社が運用することになった。

しかし、加入者が伸び悩み、累積赤字を貯め込んだ結果潰れてしまったのだ。どんなサービスを後継にするかは全く決まっていないらしい。NOTTVのチューナー入りの携帯電話端末を買った人は何も見られなくなってしまうようだ。

i-dioはこの失敗から学んでいるようだ。まず端末を無料で配る事にした。モニターと言っているが実際はベータテストではなく無料配布なのだろう。50,000人に配るそうである。さらに、コンテンツ事業者とインフラの事業者を分けた。そしてコンテンツ事業者を地域ごとに分割した。

i-dioは無料でコンテンツを配信するらしい。NOTTVは有料コンテンツだったのだが、加入者が集らなかった。不思議なことに日本ではお金を払ってコンテンツを買う文化が根付かない。TVには必ずBS/CSチューナーが入っているが、スカパーの加入者は350万人程度なのだそうだ。NHKのBSですら2,000万人の加入者しかいないそうである。有料どころかTVはNHKしか見ないという人も多いのではないだろうか。BS/CSアンテナですら付けるのが面倒だという国民が、わざわざNOTTV対応の端末を買って有料放送なんか見るはずがない。

このように失敗から学んでいるように見えるi-dioだが、懸念もある。wifiを切り替えて使うようなのだが、使っている間は既存のwifiが使えなくなる。携帯電話を想定しているようなので、携帯の電波を使ってwebにつなぐ構想なのかもしれないが、wifi専用のi-padなどではネットにつなげなくなるし、通信料も高くなるだろう。

さらに、ブラウザーではなく専用のアプリを使うようだ。なぜか日本のメーカーは自社技術でユーザーを囲い込みたがる。ブラウザーにHTML5で動画配信するということならばPCでも対応できたはずだが、そのつもりはないのではないかと思う。

ハードウェアも一から作り直す。VHF帯の電波をwifi変換できる機械があれば汎用的に使えるはずだが、細かく分けた上で専用機器を作るのだ。i-dioの他に自治体用に緊急放送を送る機械を作るということである。

ユーザーはいろいろな機械を買わなければならない。デジタルTV、ワイドFM用のラジオ、i-dioチューナー入りのナビゲーションシステムなどなど。汎用タブレットで全部できればそれでよさそうだが、どうしても専用機を作りたいみたいだ。

一連の話を調べていて不思議だったのは、未だに通信と放送が完全に分離されているということだ。法律が違うのだそうだが、実施にはどちらも電波にデジタルデータを乗せているだけなのである。技術的には放送電波にYouTubeを乗せて、それをwifi変換してパソコンで見るということもできるのだが、法律の体系だけはラジオが登場したときと同じ区分を使っているのである。

Twitterを分析する

Twitterにアナリティクスという仕組みがあり、ツイートの反応を分析することができる。分析の目的の目的は「今夏の選挙で立憲主義を争点にすると負けますよ」ということの証明なのだが、その他にもいろいろなことが分かるのでご紹介したい。

政治にだけ着目すると「左派インテリ」への反発が強まっており、立憲主義や民主主義を守りたいという欲求は退潮しているということが分かる。左派も民主主義を守りたいわけではなく、安倍晋三という人そのものに反発しているのではないかと思われる。

それ意外だと「自分に関係あること」の反応率は高いが、それ以外のことには関心が高くない傾向もありそうだ。

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立憲主義を争点にすると負けます

まず、メインテーマから。立憲主義への関心はほとんどない。閲覧数も少ないし反応率も今ひとつ。つまり、興味を持っている人は少ないのではないかと思われる。また左派インテリへの反発も強そうだ。

甘利問題もあまり興味を引かなかった。金権政治家への風当たりは弱まっているらしい。ただし「甘利さんは陰謀で陥れられた」と思っている人は多いらしい。検索経由での閲覧が多かった。黒幕を探していた人もいた。甘利問題は金権政治の問題ではなく陰謀論として捉えられているのだ。

その他興味を引かなかったもの

TPP、電力自由化なども興味を引かないらしい。Twitter Analyticsによると、フォロワーで最も多いカテゴリはテクノロジーに興味がある人らしいのだが、テクノロジー関係のツイートも興味を引かなかったようだ。「新製品が出た」とか、そういう話題が受けるのかもしれないが、よく分からなかった。また格差問題には関心が集ったが生活保護に関するツイートはあまり関心を集めなかった。生活には不安を感じているが生活保護を受ける程度には至っていないと考える人が多いのではないかと思われる。生活保護に関する拒否反応はよく語られる。やはり「恥だ」という認識なのかもしれない。

どのようなツイートが受けたのか

逆に、反応が良かったり、インプレッションが伸びたものは下記の通り。

個人に訴えかけるもの

立憲主義はあまり関心を集めないのだが「安倍政治を続けさせたくない人に読んで欲しい」というツイートの反応率は良かった。個人に訴えるとよいのだろうかと思った。また、安倍晋三個人への反発が強いのかもしれない。

個人に関係があるもの

金融で統計を取ると関心はあまり高くなかった。そこで金融のテクニカルなつぶやきと口座維持手数料に分けてみると顕著な違いが出た。「マイナス金利」のニュースに際して「自分の銀行の手数料が高くなるか」ということが関心の対象になっていて、それ以外は、言葉は悪いが「どうでも良い」ことなのだ。

弱い犬を叩くもの

「民主党のていたらく」と名付けたのは、民主党は解党すべきとか、経済政策がないというもの。どうやら民主党は、否定的な感情を持つ人たちから監視されているらしい。ネット右翼が韓国に詳しくなるのと同じ理屈なのだろう。これらのツイートはインプレッションを稼いだ。逆に擁護したり提案しても全くと言っていい程反応はなかった。

懐疑心

読みが難しいものもあった。これが今回のトップツイートとなった。組体操は憲法違反だという木村草太氏へのツイートに反応したもの。「議論」というラベルを付けた。

「社会が大きな目的を達成するためには個人の犠牲はやむ終えない」というのが、校外の合意となり法制化されたら、やはり法律は尊重されるべきなのだろうか。

いくつかの読み方ができるが、左派インテリ層(「戦争は良くない」などという学校の先生みたいな人)への反発のようなものを感じる。立憲政治を守りたいというツイートが無反応なのと一対になっているのではないかと思える。もう一つインプレッションを伸ばしたのがこれ。哲学者の永井均氏に宛てたもの。

この論法だと安倍政権の憲法改正も民主主義を通じた真摯な普遍道徳の追及だということになると思うですが、永井先生はこの説を支持なさいますか。支持しないとすると「徳」のような判断スイッチを外に置かざるをえなくなると思うのですが。

自民党の憲法案への賛成票であればまだ良いと思うのだが「左派インテリが困った顔をするのが見たいから」というルサンチマンで憲法改正案が成立してしまうのだとしたらかなり問題が大きいのではないかと思う。

その他

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その他受けたものをいくつかご紹介したい。まず民主党の長島昭久議員との間のやりとりで「愛国心」に関するもの。広がりは全くないのだが、反応率が高かった。キーワードは「保守」や「愛国心」。こうした言葉に対する反応率の高さは意外だった。しかし、質には少し違和感がある。グローバル化や左派インテリへの反発が重なっているのではないかと思う。これについては少し考えた方がよいかもしれない。

また松田公太議員との間のやり取りも反応があった。こちらも広がりはない(多分世間一般への関心は高くないのだろう)が、反応率が良かった。根強いファンが付いているのかもしれない。

トリビアも反応率が高かった。福岡県の京都郡がきょうとではなく「みやこ」と読むというもの。どうでもいい話だが、こういう軽い話題は受けが良いようだ。

その他ジャンルが受けたように見えるのは、受けが良いものだけをその他に入れたからだ。山本太郎議員が北朝鮮反対の決議に加わらなかったことを非難している人がいたので次のように呟いたら6700回閲覧された。プロフィールを見に来る人がやたらに多かったので「こいつは左翼(あるいは山本太郎のシンパ)だろう」と思われたのではないだろうか。

自民党の議員さんの中にも北朝鮮への非難決議を拒否した方が大勢いらっしゃったようです。先生はこの件について何か御存知ですか?

調査の方法

まずTweet Analyticsを使ってデータをエクスポートした。どの分野のツイートなのかは手作業で入力した。今回は20のカテゴリーに別れた。金融をサブカテゴリに分けたので、合計で21になる。カテゴリごとのインプレッションを合計し、ツイート数で割った平均を横軸にとり、反応率を縦軸にとった。反応率には、URLの押下・プロフィールの閲覧・いいね・リツイートの数などが含まれる。よって、反応率は「賛同率」とは異なる。ツイート数は200ちょっと。

格安コンピュータで日本経済の再生を!

国会で安倍首相が「第四の産業革命」とか言っている。ドイツなんかで流行っているIndustry 4.0を誰かが吹き込んだんだろう。国を挙げてスーパーコンピュータ開発や人工知能開発を目指さねばなどと言う人もいた。「ふーん」とは思うのだが、全く響かない。その理由は、彼らが考える「ハイテク」感が20年くらい遅れているためだ。

最近のコンピューティングのトレンドは「安く気軽に」だ

最近、格安のコンピュータが流行っている。Raspberry Pi Zeroというイギリス製のコンピュータが5ドルで買える。スペックはなかなかのもので1GHzのシングルCPUと512MBのRAMを備えている。電子部品やセンサーと組み合わせて遊ぶ教育用のコンピュータだ。

また、アメリカではCHIPというコンピュータが10ドルで売り出される予定だそうだ。同じようなスペックだが、BluetoothとWIFIが付いているそうである。

コンピュータとその周辺機器は完全にコモディティー化していることが分かる。スタバでコーヒーとチーズケーキを買うより安く付くくらいの価格なのだ。コンピュータで差別化できる時代はとっくに終った。「スマートテレビ」のコンピュータ部品は5ドルもあれば作れてしまうようなものなのだ。

近年IoTが流行り始めているので、Raspberry Piを使ってモノづくりを楽しんでいる人がたくさんいるみたいだ。UNIX、Pythonと電子部品の知識が必要で、理系の人のホビーみたいなイメージらしい。

日本の悪いクセ

スーパーコンピュータも結構なのだが、安いコンピュータをたくさん並べて処理をした方が何倍も効率的なことも多い。だが、大手メーカーは5ドルのコンピュータなんか作らない。おじさんたちの高い給料を賄えないからだ。政治家さんと仲良しのおじさんたちがいろいろと吹き込むのだろう。

日本人は変化を嫌うので、延々とスペック競争を起こす。家電ではTVが4Kや8Kを目指し始めた。ホームビデオを8Kで撮影するのだそうだ。その結果、新しい製品は売れなくなり、ついにはヤマダ電機が中古市場に手を出すようになってしまった。

さらに日本には「囲い込みたがる」クセもある。昔政府が「INSとキャプテンシステム」を組み合わせたニューメディア構想というのを推進していた。高付加価値化を目指したので通信料や端末の料金が高く全く売れなかった。政府は全国の郵便局に端末を設置したりしたのだが全く普及せず、枯れた技術であるTCP/IPを使ったネットワーク(後にインターネットと呼ばれるようになる)に完全に取って代わられた。

ニューメディア構想のもう一つの失敗の原因はコンテンツの貧弱さだった。政府やメーカーはハードウェアには熱心だったが、コンテンツにはほとんど関心を寄せなかった。儲からないからなのだろう。しかし、実際にユーザーが関心を寄せるのはハードウェアではなくコンテンツなのだ。

日本のIT技術の底上げはボトムアップで

もし日本のIT技術を底上げしたければ、1000円〜2000円くらいのコンピュータを中学生に配った方がいい。日本の技術があればいくらでも作れるだろうし、コンピュータそのものは英米から輸入してもよい。ネットワーク対応はした方がいいと思うが、その他のスペックはたいしたものではなくても構わないのではないか。独自技術で囲い込みたくなるかもしれないが止めた方がいい。すぐにガラパゴス化してしまうだろう。枯れた技術で作るから安く作れるのだし応用もできるのだ。多分「独自OS」とか言い出す人がいるだろうが、それも止めた方が良い。

ただし、いろいろなセンサーは付けられるようにすべきだ。その方がいろいろ遊べて楽しい。ヒーターのスイッチをオンオフしたり、音声認識をしたり、GPSを使ったり、RFID(非接触型の読み取り装置)と通信したり、光センサー、加速度センサー、温度センサーなどなどとできることはたくさんある。

これを頭が柔軟な子供に使わせれば、様々な用途に応用できる。UNIXの知識も身に付いて一石二鳥だし「お金がなくてパソコンが買えない」みたいなこともなくなるだろう。

パソコン教育というと、Officeを使わせてインターネットで調べものをして、みたいなことを考えがちだ。確かに働くとき便利だろうが、パートや事務員になるためだけにパソコンを学ばせるよりも、プログラミングを勉強してもらった方が将来に広がりが出るのではないだろうか。

もう一つ分かるのは、これからコンピュータ産業はどんどんオープンソース化して行くだろうということだ。一部のエリートエンジニアたちが家電を差別化するために競争するというような時代は終ってしまったのだ。何万人もの素人がアイディアを競うような時代になってくるのだろう。

もともと細かくちまちまとしたものを作るのに長けていた日本人が、コンピュータだけは大きくて立派なものを作ろうとするのだろうか。政治家やおじさんたちの頭の中には、公共事業のイメージがあるのかもしれない。

Feedlyを使う

最近、Feedlyを使って当ブログを閲覧する人が増えてきた。ソーシャルメディアが台頭した数年前にRSSリーダーなど過去のものになったと思っていたので、ちょっと意外な傾向だ。読まなければならないブログやニュースサイトが爆発的に増えているからなのかもしれない。モバイルとPCで共有できるのも人気の理由なのかなと思ったりもするが、よくわからない。

遅ればせながらFeedlyボタンを右サイドバーに追加した。モバイルで閲覧している人は画面の下(コメントよりも下)に表示されているのでちょっと見つけにくいかもしれない。

ついでにモバイルのレイアウトを見直した。普段はPCでしか見ていなかったので、広告とソーシャルメディアのシェアボタンのレイアウトが崩れているのに全く気が付かなかったのだ。2/3のユーザーがモバイル経由なので、読みにくかったんだなあと思う。申し訳ない限りだ。スペースの関係ではてなブックマークとGoogle+は外した。残念ながら、はてな村からの支持はあまり得られなかったみたいだ。

Feedlyボタンをつけるのは簡単だった。Feedlyのサイトに行き、RSSのURLを埋め込んだコードをコピーするだけだ。Feedly対応で気をつけなきゃと思ったのはサマリーの書き方だ。今はTwitterカード用に書いているのだが、Feedlyはより多い情報が使える。この使い方を工夫するとソーシャルメディアへのシェアが増えそうだ。ただし、ここでまとめてしまうと概要だけ見て本文を読まれない可能性もある。多くの人はヘッドラインをフォローするのに忙しく、本文をじっくり読む時間はないんじゃないかと思う。一覧から選ぶと概要が表示される。本文を読むためにはもう1クリックする必要があるのだ。WordPress系の場合RSSにアイキャッチ画像を表示するには改造が必要なようだ。面倒なのでやっていないのだが、ニュース系サイトではデフォルトになっているようで、写真がないと埋没しそうだ。

Feedlyはブログの整理だけでなく新しいブログの発見にも役立つようだ。たとえば政治家のブログをフォローしたいとする。何かひとつ政治家ブログを選んで登録する。するとそのブログを購読している人が読みそうなブログを自動的にお勧めしてくれる仕組みがある。これは旧来のRSSシステムにはない機能だろう。Twitterは自分がフォローしている人の気になる情報しか発見できないが、Feedlyはソーシャルで盛り上がっているニュースをトップに表示する機能がある。

改めて、世の中には読まなければならない情報がたくさんあるんだなあと思った。この中で埋もれないようにするのはなかなか大変だ。場合によってはヘッドラインだけでも読んでもらえればという割り切りも必要かもしれない。