新聞が軽減税率を適用するという話を苦々しく聞いた。たかだか2%の「減税」は政治的なトロフィーとしての意味合いしかないのだが、この2%の為に「ジャーナリズム」が持っている権力監視という役割を放棄しかねないと思うからだ。
しばらくして、大切なことを忘れていたことに気がついた。それは「知る権利」の大切さだ。特に普通の手段では情報を得にくい人たちと情報の関係である。そこで思いついたのが、点字新聞だ。
日本では唯一、毎日新聞社が点字新聞を出しているらしい。日刊ではなく週刊のようだ。送料無料と書いてあるので、宅配ではないのではないかと思う。ということは、今回の軽減税率の対象からは外れてしまうことになる。
しかし「知る権利」という意味では、これほど重要な媒体もないはずだ。
確かに軽減税率にはトロフィーとしての役割しかないのかもしれないのだが「国民の知る権利」などと主張するのだったら、こうした福祉系の新聞への配慮を行うべきだろう。文字が読めない人にとっては紙媒体だけが新聞ではないのではないのかもしれない。例えば、音声媒体の新聞もあるだろう。
宅配で線引きするのは、「ジャーナリズム」と「イエロージャーナリズム」をわける意図があるのだと思う。有り体に言えば、駅売りの庶民ジャーナリズムへの差別感情だ。そこで、「高級な」新聞だけを切り分けようというつもりなのだろう。しかし、そうした区分は、切実に情報を必要とする人たちを排除することになりかねない。宅配新聞だけを有益だとして優遇するのは、多分単なる傲慢なのだ。
それにしても「知る権利」という言葉を軽々しく使いすぎているのだなあ、と自省した。多分、切実に情報を必要としている人というのも、思いが至らないだけで、数多く存在するのだろう。