6月29日の午後2時頃新宿南口で集団的自衛権行使容認に反対の演説をしていた男性がガソリンのようなものをかぶり焼身自殺を図った。行使容認への抗議と見られるが詳細は不明だ。このニュースからネットおよびテレビのジャーナリズムの距離感が分かる。
テレビはストレートニュースで伝えたが、その後東京・埼玉・千葉などでゲリラ雷雨のニュースに置き換わった。逆に反応したのはハフィントンポストやTwitter・YouTubeといったネット系だ。検索するといくつもの画像やビデオが閲覧できる。YouTubeにはわざわざCGで作りこんだものもある。
この人の政治的背景が分からないとテレビではうまく伝えられないようだ。右翼や左翼の可能性もあるし、「単なる自殺」なのかもしれない。テレビのような公共性の高いメディアでは男の背景が分からないとうまく伝えられないようだ。
興味深いのは取り上げ方によって全く違って見えるという点だ。「繁華街で焼身自殺するのは迷惑だ」という伝え方と「集団的自衛権行使容認は焼死自殺者が出る程のひどいものだ」という伝え方では、行為の意味が全く違って見える。テレビでは短く伝えられただけなので「全く知らない」という人もいるだろう。
ネットメディアは発信者の責任で好きなように情報を流すことができる。また記録として残る「アーカイブ性」もある。このような利点がある一方、欠点もある。SNS人口は約5,000万人程度と言われており、それ以外の人たちには伝わりにくい。また、最初から発信者の主義主張と結びついており、その人のたち位置によってまったく違った情報として伝わる可能性がある。異なった意見が集らないので問題解決に結びつきにくい。
最も危険性が高いのはこれが噂やデマを引き込みやすいという点だろう。改めて日経新聞の記事を読むと、男の身元や動機などが分からない。曖昧な情報は拡散されやすい(豊川信金事件を参照のこと)ので、元々の意図とは異なったデマになりやすいのである。
一部ではあるが海外のニュースには三島由紀夫や切腹文化を引き合いに出したものもある(New York Post)。