小川氏対西日本新聞の不毛な議論

先日、小川和久氏がツイッターで「西日本新聞は俺が言ってもいないことを書いている」という趣旨の発言をしたのを見つけた。西日本新聞社の記事はこちら。不毛な議論だなと思った。その不毛さの裏にあるのは「〜べき」という思い込みから脱却できない老人たちの悲哀だ。

小川氏は壊れたテープレコーダーのように「日米同盟は役に立っていて、日本は他の同盟国よりも格上である」という主張を繰り返している。これは朝鮮が自分たちは「小中華である」と考えていたのに似ている。実際には単なる属国なのだが、そう思いたくないので、自尊心を満たすために自らについた嘘である。嘘の裏には大きな国の一部にもなれないし、かといって独立もできないという中途半端な状況がある。

西日本新聞が小川氏と支持者の自尊心を満たすためには、小川氏の主張をそのまま載せるしかない。しかしそれは嘘であり、実際には米軍は日本政府や国民の心情を忖度するはずはないから、嘘という以上の情報価値を持たない。その上西日本新聞は明らかにオスプレイの事故には批判的である。

日本政府は米軍からは間接統治者としての役割しか期待されていない。米軍はローカルな人たちの心情がよくわからないので「なだめ役」として日本政府を使っているのである。それを踏まえて小川氏が言ったとされる主張を見てみよう。

軍事アナリストの小川和久静岡県立大特任教授は、国民から反発の声が上がっても「それは日本政府の声ではない。米軍は作戦行動に関して、そもそも日本の政治家や官僚の言葉は聞かない」と言い切る。

西日本新聞の記者は明らかに三流だったようだ。現実に即したとすればそもそも日本政府は米軍に声を上げることなど期待されていない。日本人の税金を米軍に吸い上げて上納し、それについて反発が起こらないように「なんとかする」ために雇われているだけだからだ。だから、小川氏がこんなことを言うはずはないのである。これは記者の思い込みだろう。記者が「日本政府は国民のエージェントとして米国に対峙すべきだ」と思い込んでいるのである。

詳しく記事を見て行くと短い記事の中に「〜か」という疑問形が二回見える。つまりこれが情報(ニュース)なのか、論評なのかということがよくわからない。もし意見ならそもそも敵対する識者の意見など聞く必要はなく、聞かなければ自分の意見に合わせて識者の発言を歪曲する必要はない。

日本人が意見を嫌うのは、世論というものを信じているからだろう。自分たちは公平で正しく、相手は偏っていて間違っていると考えたがるのだ。そこで意見記事でも「公平さ」を偽装して、双方の意見を聞いてしまうのだろう。

しかし、西日本新聞はそもそも「新聞」としての役割は期待されていないのではないだろうか。地域情報の伝え手としては信頼されているはずだが、全国ニュースは通信社に頼るのが一般的だ。しかし、地域で「ジャーナリストごっこ」をしているうちに、それでは満足できなくなってしまったのかもしれない。いずれにせよ「西日本新聞はジャーナリズムであるべきだ」という思い込みから脱却できないのだろう。かといって世論に影響を与えるという怖い体験をしてこなかったので、ジャーナリストとしての教育も受けられなかったのかもしれない。

議論自体は極めて不毛で、このことからわかることは1つしかない。日米同盟を巡る意見は抜き差しならないほどに二分されていてもはや話し合いができるほどには統合できないということである。それを推進したのは安倍政権だが、トランプ政権がどこまで状態を悪化させるのかということはまだわからない。

そもそも「日本国が軍事的に独立していて米軍の意思決定に影響を与えうる」というのは嘘なので、何かいえばいうほど亀裂は深まってゆく。本当にジャーナリストという人がいるなら、この亀裂をありのままに見つめるところから始めなければならないのではないだろうか。

現状だけをみて悲観しないほうが良い

9月からダイエットを始めて4kgほど痩せた。だいたい1ヶ月で1kgというスローペースだ。ダイエットに成功したよということが言いたいわけではなく、現状をみて「どうせ無理だ」などと思わないほうがいいと思うということを書きたい。

ダイエットのきっかけは写真だった。久々に写真を撮影してみて「ああ、これはひどいなあ」と思ったからなのだ。10kg以上太ってしまい、鏡も見なかったし、毎日同じズボンをはいていた。なんで写真を撮影しようと思ったのかはよく思い出せないのだが「現状を確認」するのは大切なようだ。

とはいえ「やせられる」とは思っていなかったので、最初は太っても大丈夫な服装を探そうとしていた。ということで、一番太った時点で古着屋に行き280円で2枚のズボンを買った。だが、これは良くなかった。UniqloとH&Mなのだがペラペラのズボンは体型を悪く見せるのだ。余計悲しい思いをすることになった。

ということで、ズボンをいくつか買って、同時に毎日続けられることをやることにした。

  1. 「内臓脂肪を落とす」というお酢を飲む。最近では酢が入った飲料が売られている。
  2. 脂肪を燃焼するというお茶を飲む。苦目に煮出したお茶を一リットルほど飲んだ。お茶にはカテキンが含まれており、運動時の脂肪燃焼効率が少し上がると考えられているらしいのだが、当初は水分を取れば脂肪の排出が進むだろうとだけ信じていた。
  3. 毎日一時間以上歩く。歩くときに姿勢を改善すると運動効率が上がる(らしい)。
  4. 寝る前に数セット軽い運動をする。自重でできる腹筋、スクワット、腕立て伏せのみ。筋力アップというより姿勢改善の効果が大きいものと思われる。
  5. おやつをできるだけ控えてバナナに変えた。バナナにはカリウムがあり水分の排出が促進されるという。

一応体重計にも乗ったのだが、体重の減りはそれほどでもなかった。毎日が「誤差の範囲」である。体脂肪率に至っては今に至るまで変わっていない。変化は体感的なもので、ベルトの穴が1つだけ動き、胸周りがパツパツだったジャケットが入るようになり、ギリギリに設定していたジーパンにはシャツが入るようになった。

この途中から衣服を大量に処分したことを後悔するようになった。その反動でかなり洋服を買ったのだが、これもサイズが大きくなれば着られなくなってしまう。かなり無駄なことをしたことになる。現場を見てこれが未来永劫続くのだとは思わないほうがいい。と、同時に鏡に映っている自分をみて腹を立てるのもやめたほうがいい。それは時間の無駄になる。

体型は自己イメージを規定している。過去にとらわれて現象を見ないと改善もできない。現実と自己イメージを切り離すこともできるのだが、現状を変えることはできない。かといって一足飛びに改善を目指すとかなりがっかりすることになるだろう。

変化は起こりえるが、それは目に見えないかもしれない。かといって、それは何も変わらないということではないのだ。

と同時に、毎日お茶を飲んり歩いたりするのを「努力」というのも違うのかなあと思った。それは単に生活習慣を変えたわけで、目標に向かって努力をしているというわけではない。現場を見て生活習慣を変われば、当たり前のことだが、状況は変わるのである。

 

ドミノピザ炎上

メリークリスマス! ドミノピザが炎上したらしい。とはいえピザが燃えたわけではない。

ドミノピザは1枚買ってお持ち帰りするともう一枚が無料になるというキャンペーンをやっている。ずいぶん前からコマーシャルをやっていたので、うまく機能していたと思うのだが、これがクリスマスに重なった。普段からピザを食べる習慣のあるアメリカ人と違って、日本人にとってピザというのはお祭りの食べ物なので「クリスマスを特別なものにしよう」という人々が殺到したらしいのだ。システムがパンクして「どれだけ予約が入っているかわからない」という状況になった店舗が出たという。

本部の無責任体制が問題を大きくした

ドミノピザのカスタマーセンターに問い合わせたところ、今の時点では「どれくらいの店がこのような状況になったのかを公表するつもりも、何らかの謝罪をするつもりもない」ということだ。

ネット上では「キャンセルしてかえって来ればよいではないか」という声や「別の店にすればよい」という意見もある。ドミノピザは受け取らなかったピザについて料金は取らない(クレジットカードでも)と言っているのだが、これが周知されていたかはわからない。さらに、キャンセルはお店に連絡することになっている。だが、品物を作れないほど追い込まれており、システムがパンクし状況がわからなくなった店がキャンセル電話を受け入れられるはずもない。

本部は一切責任を取らずに店に責任を取らせるという仕組みになっており(キャンセルをお店に仕切らせるというのはそういうことだ)これが問題を大きくしたのだと言える。

しかし、よく考えてみれば注文を受けたのは店ではなく、本部が提供したシステムだ。店側から注文を断れる仕組みがないとすれば、責任の大部分は本部にあると言える。問題は警察が出動して周囲の駐車違反を取締まるというところまで大きくなっており、企業の社会的責任が問われるだろう。

注文を差配するのはシステムだがパニックボタンがない

実際に予約システムを触ってみた。システムは受取時間を自動的に裁くことにになっているので、やろうと思えばお断り(時間の提案)もできたはずだ。これがうまく機能しないのは例外処理が増えるに従ってテトリスのようにたまってゆくからだろう。こうしたオーバーヘッドは通常のオペレーションでは無視できるのだが、蓄積されると標準的なオペレーションでは捌けなくなる。それが積もって誰か他の人がバックアップに回るようになると無駄な時間が増えて、ついにはダウンしてしまうのだ。

つまりシステムダウンは線形的な予測ではなく、非線形的に起こる。ところがシステムはこれを線形的にしか予想しないので、ずれが生じたものと思われる。こうした非常時対応を機械で行うためには高度なAIが必要になるが、それよりもパニックボタンをつけた方が早い。

これがないというのはシステ設計の過ちと言える。

お客さんは馬鹿正直に待ち続けた

日本人が「お得」に弱くなっている様子は。決してピザが買えないほどお金がないわけではなく、なにか得なことがないと動かなくなっているのだろう。合理的に考えると、割高なピザを買っているだけ(1枚2500円のピザを買っているわけではなく配達員の給料を払っているだけ)なのだが、自分で動いてピザが安くなると考えただけでピザ屋さんに殺到してしまうのだ。

だが、日本人は一度「ピザの頭になったら何時間でも待ち続けた」ようだ。先に確かめたように品物を受け取らなければお金を払う必要はなかったのだが、電話番号やメールアドレスを取られているし、クレジットカード番号も収めたから支払を強要されるのではという頭があったのかもしれない。「並んでいたかが買えなかったから今日はピザはなし」で済む話なのだが、「ピザのお腹」になっていてほかのことが考えられなくなっていたのかもしれない。周りが騒がしくなり冷静な思考が奪われたとしたら、もはや集団思考状態だ。

企業は炎上しないと反省しない

今回の炎上案件はまとめ記事が作られたことで広がっているわけだが、もしかしたらほんの一部の地域で起こっただけなのかもしれない。しかしテレビ局が取り上げず、従ってドミノピザも謝罪会見などを開かないので、あたかも全てのドミノピザでオペレーションが滞ったかのような印象になっている。結局「炎上」によってしか企業は動かない。これが日本で炎上事件が頻発する原因になっているのだろう。

ドミノピザはソーシャルメディアに乗ることで宣伝を加速させようという戦略をとっているようだ。過去にはイケメン投票が炎上しキャンペーンを取り下げたことがあるそうだ。最近ではトナカイにデリバリーをさせテレビのパブリシティ効果を狙ったこともある。だが、クリスマスのドミノピザ炎上はそれ以上に広がってしまう。宣伝としては効果的だが、ブランドイメージにとっては明らかに逆効果だった。

ASKAさんと藪のなか

思いついちゃったので書くのだが、抗議がきたら取り下げようと思う。お茶から覚せい剤が出るルートは3つだ。本人、警察、お茶の業者である。

仮説1;ASKAさんはまだ覚せい剤を持っている。自分の著作の宣伝をしたかったので、お茶に覚せい剤を入れて提出し、おかしなことを言って逮捕された上で「あれはお茶だった」といった。トイレにはスポイドが常備されていた。全てASKAさんの事前の筋書き通り、科捜研はお茶と尿の区別はせず、覚せい剤だけに反応した。当然、計画通りなので覚せい剤は抜いておいた。マスコミはASKAさんの動向を伝えたので出版される本の名前やこれからの音楽活動の宣伝になった。一度誤認逮捕されてしまえば、逮捕されることはなくなる。

仮説2:警察はとにかく彼を挙げるつもりでいた。そのため証拠を捏造した。しかしASKAさんは事前にそのことがわかっており、お茶をコップに入れる動画かなんかを撮影し「ほら、証拠があるよ」と言った。警察は隠蔽しているわけだから当然再検査しようなどとは言い出さなかった。普段から警察がよくやる秘密の手口だったが証拠があっては仕方がない。警察の策謀は失敗に終わった。

仮説3:実はASKAさんがよく飲んでいるお茶は中毒性を出すために薬が混ぜてあった。中毒になるとリピートしてもらいやすくなるはずだからだ。だから、お茶には覚せい剤に似た成分が含まれていた。

安倍首相から国民のみなさんへの書かれなかった手紙

本日は、国民の、皆様に、お伝えしたいことが、あります。バブル崩壊後、いろんなことを、やってきました。最終的にはお金を印刷しまくって株価を上げるということまでやりましたが、全て失敗に終わりました。特に地方の状態は悲惨です。各地にリゾート施設を作りましたが、全て失敗に終わっています。生き残っているのはディズニーランドとユニバーサルスタジオだけです。それでも製造業を生き延びさせるためには、農業を犠牲にして地方を切り捨てるしかない。そこまでして嘘までついて推し進めたTPPもトランプに台無しにされてしまいました。しかし、相手はアメリカの次期大統領です。尻尾を振るしかないじゃありませんか。

そんな今理性に頼ることはできません。理性を吹き飛ばしてお金を使ってもらう必要があります。認知力が衰えた高齢者を騙すか、カジノで興奮してもらうしかないのです。

もちろん、そんな現実に日本人が耐えられるわけはありません。中国が伸びています。シンガポールも伸びています。そして背後には台湾もいます。早晩、日本人も自分たちの惨めさに気がつくでしょう。そんな惨めな私たちが頼れるものがあります。それが日本神話です。神話によると日本は世界で一番古い国です。もっともそれに対抗した韓国は自分たちの方が古いと言っていますが……

神話によって国の長さを測っている国は日本と韓国しかありません。でもそんなことはどうでもいいのです。私がそれを真実だといえば、それが「まさに」事実なのであります。紀元前660年が神武天皇の即位したとしただとはどこにも書かれていません。でも、そんなことはどうでもいいのです。

人権とか民主主義とかそんな面倒なことは忘れてしまいましょう。博打と神話に彩られた誇らしい国で、夢だけをみて生きて行きましょう。それがまさに未来思考なのであります。

Grammarly – 英語の宿題が楽になる?

ぼーっとYouTubeを見ていたらいきなり英語のコマーシャルが流れてきた。ちょっと見ていて「これはすごいぞ」と思った。Grammarlyというサービスで、単語の間違いや文法のエラーをチェックしてくれるのだ。

試しに一文書いてみた。英語は苦手な理由は2つある。冠詞が苦手でボキャブラリが貧弱なのだ。英語に文句を言っても仕方がないのだが、英語の冠詞には明確なルールがない。試しに書いた文章では、solutionは a solutionでなければならないのだという。

試しにThis has been a question for a long time. という文章を書いた。これをisに直しても文法が間違っているとは言われない。wasも大丈夫だった。時制もよくわからなくなる。だが本当にすごいのはここからで、isをダブルクリックすると言い換えを準備してくれる。アカデミック英語では必要ないのだが、クリエイティブライティングになるとボキャブラリが豊富だとポイントが高いとされる。この場合はremainなどが良いそうである。文脈も見ているんだなあと思った。疑問だったという代わりに、疑問として残っていると言えというのだ。

YouTubeのコマーシャルでは、履歴書の文法をチェックしたり、ボスにメールを送る前にチェックしてみようという提案になっている。つまり英語圏でも文法の間違いに悩んでいる人は大勢いるということになる。

だが、日本で英語を使う人は少ないので、学生の間で広まるんじゃないかと思う。英語の宿題やレポートをチェックすればボキャブラリが豊富で文法的な間違いがない文章が(本人がわかっているかどうかはともかく)書けてしまう。いわば機械を使ったカンニングだ。英語の先生が間違いを指摘されるようなことっもありそうだ。

GrammarlyはWebブラウザーでWebサービスとして使えるが、Chromeのプラグインとしても動作する。テキスト欄の英語もチェックしてくれるようである。アプリケーションもあるが手元の環境では動かなかった。

 

リベラルを抜けだした人権派だけが生き残る

誤用されるリベラルという用語

前回はリベラルという言葉が誤用されているというようなことを調べて書いた。リベラルとは「〜からの解放」という意味であり、もともとは小さな政府派を指している。これを修正する動きが出てソーシャルリベラリズムという概念がうまれ、それが日本の左派に輸入された。彼らはすでに革新派を自認していたので、リベラル=左派=革新ということになった。

少し厳しい言い方をすれば共産主義が否定されてしまい支持が集まらなくなったので、人権、戦争反対、環境などに逃げ出したのが今の左派だと言える。

そのまま差別用語になった

戦前の日本人は、西洋から「支配するもの・支配されるもの」という概念を輸入した。白人は支配する人だ。日本人はいち早く西洋化してアジアを支配すべきだと考えるようになった。その眼差しを修正しないまま中国や朝鮮半島に向けた。これがシナとかチョンという言葉の元になっている。中国が経済的に成功しだした頃から、反動として「中国は支配されるべき劣等民族」なのだという価値観が復活した。日本人はアジアの台頭が素直に喜べなかったのだ。

ところが、これが左派と結びついて、劣等民族としての左派が日本の体制を転覆しようとしているというような歪んだ考え方が生まれる。中国は実質的には共産主義国ではなくなってしまったために代替するイメージが必要だったのだろう。

政治の世界ではこの考え方は意外とメインストリームとして生き残っている。世界を支配するのはアメリカであって、日本はその代理者としてアジアを教化するのだというシナリオがTPP推進の動機になっているようだ。キリスト教的価値観が理解できず、アメリカはお金持ちだから偉いという点が強調されているのが悲しいところだ。なんとなくカーゴカルトっぽい感じがある。

実は家も名前もない日本の人権派

さて、さまざまなブログを観察していて別の「誤用」を見つけた。リベラルを人権派と自己規定している。以下、引用する。

それは、リベラルがリベラルとして理想を容易に語れなくなったということであり、理想の理念の代表格である「人権」ですらその波には逆らえず、トランプ的「ホンネ」の前ではこれまでのように無防備に理想主義としての「人権」が語れなくなってしまった。

アメリカで起こっていることを思い切り誤解しているなあと思ったのだが、この「リベラル=人権」というのもよくある用法だよなと思った。誤用とも言い切れないのはリベラルには「偏見から解放された」という意味合いもあるからだ。確かに進歩的な人たちをリベラルということはある。

敢えて誤用だといったのは、彼らが何から解放されるべきなのかということを考えずに、リベラルというラベルを使っているという点にある。伝統的な左派政党は国家の社会保障などは肯定しつつ、国家が人権を侵害することを嫌う。多分企業の自由な活動にも否定的なのではないかと思う。だから国家が経済活動を規制すべきだと言えば、賛成するだろう。

だが、なぜ解放されるべきなのかを考えない限り人を説得することはできない。日本の人権派がそのことを考えてこなかったのは、実は彼らが人権を単なるお題目だと考えているからなのだろう。

人権はなぜ擁護されるべきなのか

そもそも人権はなぜ擁護されるべきなのだろうか。2つの柱がある。

1つ目の柱はキリスト教の考え方による。人は神の前では平等なので、すべての人は同じように愛されなければならないというのが、キリスト教的な人権擁護の意識だろう。だが、多くの日本人は聖書を読んだこともないし、キリスト教の価値観を共有していない。だからこの線で人権を擁護することはできそうにない。

だが、人権擁護には別の柱がある。

アメリカで人権派といえば民主党だ。民主党は都市型政党であり、政府が人権擁護のために介入することには反対しておらず、アンチリベラルと言える。共和党はリベラルな政党で、強者(彼らの認識によれば能力があり頑張った人たち)が報われるべきだと考えている。

だが、実際には経済的強者は民主党を支持し、負け組になっていて政府のサポートが必要な人たちが共和党を支持するという逆転した図式がある。経済的に余裕ができるほど他者に優しくなる。すると優秀な人たちが集まりさらに発展するという好循環が生まれる。多様性は富をもたらすから、善なのだということだ。もともと自由都市に集まった人たちが経済的に成功したというヨーロッパの歴史が元になっている。

こうした違いはすでに表面化しつつある。ニューヨーク。シカゴ、ロスアンジェルスなどの諸都市は不法移民を保護するという宣言を出した。これらはすべて民主党が強い地域だ。

人権擁護は単なる建前ではない

先ほどのブログの分析によると都市の市長たちは「建前」を口にしているだけだということになってしまうのだが、実は建前ではなく、競争力の源泉になっている価値観を擁護しているのだ。

人権を守るということは多様性を確保するということで、それは経済的な強みを維持するということだ。だから、人権は重要なのだという結論が得られる。

いわゆる日本の人権派と言われる人たちが「人権など建前なのだ」と考えてしまうのは、皮肉なことだが人権擁護という価値観を信じていないからなのである。それは日本が総じて共和党が勝った側のアメリカと同じような状況にあるからだと分析することもできる。そこから脱却しない限り、日本の人権派が成功することはないだろう。

 

トランプ大統領は世界の終わりなのか

トランプ大統領が誕生したのを受けて、ロイターがベルリンの壁が崩壊してから27年後に資本主義社会が崩壊したと書いていた。選挙日とベルリンの壁が崩れた日が同じだったそうである。「それほどのことか」とは思わないのだが、否定することもできないので、今回も星占いに頼ってみた。

チャートを再掲載していいのかはわからないが、一応ロゴは貼っておく。日付を入れると自動でホロスコープを作ってくれるサービスがあるのだ。

なお、星占いは科学的には否定はされていないが、統計学的な優位性は全くと言っていいほど証明されていないそうである。つまり、あてにならないということになっている。あらかじめお断りしておく。くれぐれも大地震などを勝手に予知しないように。

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ドイツでナチス政権ができた頃のホロスコープ。それほど顕著なことが起こりそうな気はしない。だが、足の早い星が水瓶座にあることがわかるかもしれない。緑色のゾーンに星が多い気がするがこれは月があるせい。月は30日弱で一周する。
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ということで、こちらが国会が放火された時のもの。今回ポイントになるのが木星(乙女座にある)である。太陽と180度の角度を形成している。徹底的な破壊や死を示す冥王星(だが人間は感じ取ることができない)と太陽は120度を形成している。このハードアスペクトとソフトアスペクトの組み合わせがあることと、ある程度星が固まっていることがポイントになるようだ。
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日本がハワイで特攻攻撃を仕掛けた頃の図。時差があるはずなので月の位置は微妙だが、間もなく火の星座入りする。木星と太陽はまたもや180度を形成してはいる。冥王星と太陽は同じ火の星座にいる。攻撃を示す火星も火の星座にあり(これをグランドトラインなどという)一般的には吉兆とされる。だが、これで日本が破滅することになった。
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さて、誰でもパターン認識できますよね。木星と対峙するのは太陽ではないというところが、これまでのパターンと違っているところ。月が参加して水の星座でグランドトラインができている。これも吉兆のはずなのだが、組み合わせとしてはかなり破壊的な出来事だった。これがベルリンの壁の崩壊だ。これがきっかけになり、最終的にすべての東側陣営が崩壊した。
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こちらはソ連の崩壊。事実上崩壊してしまっており、顕著な破壊のパターンは見えない。実実情崩壊過程が進んでいて、最後の宣言だけだったということが言えるのかもしれない。
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意外とばらけているこの配置。だが、この日「世界の終わり」を感じた人が多かったかっもしれない。木星はまだ火星と対峙していない。水の星座にグランドトラインができている。一方で冥王星は土星と対峙。つまり、木星と火星は外れていることになり、それ以外の星座がソフト・ハードの組み合わせを作っていることになる。ニューヨークのビルに飛行機が突入し、のちの湾岸戦争に続く緊張が生まれた。

無理矢理に解釈すると、民主的に起こった動きはある程度の星のまとまりを必要とするが、少数人数で起こせることは、それほどのエネルギーを使わないのだと解釈することができる。もちろん、星占いにそれほどの力がないとすれば、それはすべて偶然の産物だ。
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さて、これだけが未来のチャート。トランプ大統領が当選した時のチャートも見てみたがそれほど顕著な形は見られなかったのである。現在の緊張は木星が天王星と対峙していることによる。天王星は改革とか最先端技術などを示すのだがこれが逆行していた。しかし年明けごろから順行に入る。木星は順行している。今回は取り上げなかったが「世界の終わり」では木星は逆行していることが多い。木星と冥王星が90度なので何か起こるとすれば今でなくこの頃である。だが、グランドトラインなどはないので、人々が大きく動くということはなさそうである。

ハードなアスペクトはどちらかといえば降着を意味するはずなので「これからどうなるのだろうか」みたいなことは起こりそうだが、それほど破壊的なことは起こらないのではないかと考えられる。

正直星占いが当たるとは思わないのだが、長期的な視野を得るのにはよいのではないかと思う。

勘のいい人は、オレンジのところに星が集まったらどうなるのだろうと考えるのではないか。ハードなアスペクトとソフトなアスペクトの組み合わせができる。この場合月が重要な働きをするので、日付単位で要注意日がわかることになる。

トランプ大統領の誕生と安倍政権の崩壊の始まり

落日ってこんなもんかと思う。安部政権のことだ。

マスコミの事前予測と異なり、トランプがアメリカの大統領になりそうだ。このシナリオは安倍政権にとっては悪夢ではないだろうか。政策がどうという問題ではなく、事前に予測ができないからだ。これまでのアメリカの政策というのは大体決まっていて、日本はそれを忖度しながら政権運営をしていればよかった。これができなくなる。

直近の影響は2つある。ひとつは防衛予算の増額だ。トランプ大統領は東アジア撤退を仄めかしつつ、防衛費の負担を求めるだろう。日本はこれに応じざるを得ないがどの程度の負担増になるかは誰にも分からない。これが日本の財政を圧迫するだろう。

このことは間接的に日本には防衛戦略がなかったという事実を露呈するはずだ。力強い日本という虚像がガラガラと崩れてしまうのである。

次の懸念は株価だ。今日株価は800円ほど下がったがこれはプレビューに過ぎないのではないだろうか。アメリカは保護主義的な政策を取るはずなので、日本の企業にとっては大きな痛手となるだろう。輸出企業中心で成立している日本の株式市場にとってよい影響はないだろう。

安倍政権は株価連動政権だ。というより、安倍を支持している人たちは経済について難しいことは分からず、株価=経済だと考えているようだ。だから、株価が下がれば心理的な動揺が広がるだろう。これは年金のパフォーマンスに影響を与えるだろうが、それよりも、メンタルな部分が大きいはずだ。そのほかの「経済政策」はすべて撤退戦に入っているので、安倍政権には打ち手がない。

一方で「ロシアとの間でバランスを取っている」というポジティブな意見もある。トランプ大統領を見越してロシアとのパイプを作ろうとしているという人がいるのだ。だが、これは単なる希望的観測に過ぎないのではないか。

安倍政権は総合的な政策を持たず、分野分野で都合のよいディールを模索しているに過ぎないと思えることが多い。ロシア利権のようなものがあり、それを推進するのに4島返還論が邪魔になっている。これを棚上げして、エネルギーや鉄道に関する利権を得たいという人がいるだけなのではないかと思う。つまりロシア外交と防衛政策とはリンクしていない。防衛政策ではアメリカにフリーライドするつもりだったのではないかと思える。

さんざん「アメリカ追随」と批判を受けてきた安保法制も実はアメリカと関係なさそうだ。南スーダンでは、中国に近隣国を加えた国連部隊が展開しているだけでアメリカのプレゼンスはないようだ。中国軍は統制が取れていないらしく、南スーダン政府軍と衝突したりもしている。安倍政権は、国策として総合的な判断をしたというよりは、単に「国際的な役割を拡大させたかった」だけか「中国に乗り遅れたくなかっただけ」のように見える。石油関係の利権があるからだ。中国との対抗心は安倍政権のキーになっている。だが、南スーダンは泥沼化しつつあり、死者が出れば「違憲判断」のリスクにさらされる。

多分、日本人は安倍政権をよく理解していないし、積極的に支持もしていない。オバマ大統領が「よいアメリカ」という顔を持っていたので「大勢についてゆけばまあ大丈夫だ」と考えていたのだろう。

ところがトランプ大統領は嫌われ者であり日本に対する過激な発言でも知られている。「これまでのようにアメリカについて行っても大丈夫か」と考える人は増えるだろう。

唯一の請っていた「成長戦略」であるTPPでは完全にはしごをはずされた形になった。自民党は不人気を覚悟でTPPを推進してきたが、国民がこれを容認したのは「それでもアメリカについてゆけばまあ大丈夫だろう」と思っていたためだろう。

しかし、今後は「トランプランドに追随して大丈夫か」という疑念が出てくるに違いない。安倍政権はTPP=農家にダメージがあるだけという図式を作ってきたようだが、これで製造業国としてのアメリカと対峙するという形に変わってしまった。かといって、ここで批准手続きを止めてしまえば「アメリカに忖度しようとしただけ」ということになってしまうので、このままコミットせざるを得ない。

さらに悪いのは民進党が崩壊寸前ということだ。このため自民党の議員には危機感がない。日米同盟の動揺という党の基幹にかかわる危機が訪れているわけだが、そのような危機感は持っていないのではないかと考えられる。民進党は単に現在の政策に自民党をコミットさせるというダチョウクラブのような役割を果たしている。

彼らがプラカードを出して大騒ぎすることで、自民党は安保法制やTPPを積極的に推進したという印象になり、失敗したらすべて自民党のせいということになってしまうのだ。この対立構造を作ったのも安倍晋三なのだ。

加えて安倍政権は当初の目的である長期政権の維持を達成してしまったために、リスクを犯して思い切った政策を取ろうという意欲はないのではないだろうか。このまま危機を迎える。フリーライドしたいという周辺議員を抱え、誰もリスクをとって変化しようというリーダーシップも新しいアイディアもないまま、なし崩し的に自壊の道を走るという時代になったのだ。

「フィーチャーフォンがなくなる」問題

先日、ガラケーがなくなるというようなニュースを耳にした。スマホに変えるつもりはないのでちょっと慌てたのが情報がなく自分の使っているサービスがどうなるのかよくわからない。

結論からいうとすぐに何かをする必要はないのだが、日本人が他人に情報を伝えるのがいかに下手なのかがよくわかるので、詳しく書くことにした。コミュニケーションが混乱する原因は用語の混乱にある。短く言うと「ドコモはバカ」なのだ。ではどのようにバカなのだろうか。

きっかけはこのリリースだ。

ドコモ ケータイ(iモード)出荷終了について

2016年11月2日

平素は、弊社商品・サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。

  • ドコモ ケータイ(iモード)は2016年11月~12月を目途に出荷終了し、在庫限りで販売終了いたします。ドコモ ケータイをお求めのお客様にはドコモ ケータイ(spモード)をご用意しております。
  • ドコモ らくらくホン(iモード)については当面出荷継続いたします。
  • iモードサービスは今までと変わらず引き続きご利用いただけます。

弊社は今後もお客様への一層のサービス向上に取り組んでまいりますので、何卒ご理解を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

これ、意味がわからなかった。わかったのはiモードはすぐにはなくならないので、情報はスルーしてもよいということだけだった。

情報が混乱する直接の原因はこのほかにいくつかの定義が曖昧な言葉があるからだ。それは「ガラケー」「二つ折り電話」「フィーチャーフォン」という言葉だ。

  • FOMA – 電波の名前(古い)。
  • Xi – 電波の名前(新しい)。
  • iモード – FOMAに乗るネットサービスの名前。
  • spモード – Xiに乗るネットサービスの名前。
  • ドコモスマホ – パソコンのように使える新しいタイプの電話機でXIとspモードで使う。iPhoneを含む。実際には明確な定義はなく、アンドロイドとiOSを基幹ソフトとして使っている電話機の総称である。
  • ドコモケータイ – スマホではない電話機をケータイと言っている。一般にはスマホもケータイなので混乱する。フィーチャーフォンとかガラケーなどと呼ばれることが多いのだが、実はspモードが使える二つ折りの電話を含んでいる。また、旧来型のドコモケータイもXIが使えるものがある。スマホに定義がないので、ドコモケータイにも定義がない。
  • ガラケー – 国産電話のうちOSも自前のものを使った機種を示す俗称。ゆえにドコモケータイとらくらくフォンを含むものと思われる。ガラケーのなかにもspモード対応(もしくは専用)のものがある。
  • ドコモらくらくフォン – 高齢者や障害者向けに作られたスマホに似た電話機なのだが、spモードとiモードを含む。

つまり、ドコモケータイ=ガラケーではないわけで、ガラケーには明確な定義がない。二つ折りの中にもガラケーでないものがあるのだが、ドコモのURLはfeaturephoneという名前になっている。この中には、iモードでないものも含まれている。リリースの第一項でわざわざドコモケータイ(spモード)と書かれているのはそのためなのだが、知らないと読み飛ばしてしまうだろう。

わかっている人(ドコモの広報、オペレータ、マスメディア)はこの言葉の定義がなんとなく分かっている(だが説明はできない)ので、違いをなんとなく感じながら使い分けている。しかし、それを知らない一般の人と話をするとなんだかわけがわからなくなってしまう。オペレータになんども「それはどこに書いてあるのか」と聞いたが、誰も答えられなかった。

わからないのだが「バカにもわかりやすく話してやろう」という気持ちがあるようだ。そこで「二つ折り電話がなくなる」という新たな定義をぶち込んできて話を複雑にしていた。スマホは二つに折れないのでわかりやすいと思ったのだろう。実際には二つ折り電話の中にもなくならないものがあるし、そもそも二つ折りという概念は形態による区分けだ。概念がわからない人に別の区分けをぶつけるから喧嘩になるのだ。

日本人はすべての人が同じコンテクストを共有しているという前提で話をする。多様性を前提としていないので、コミュニティの外の人とは基本的に会話ができないし、相手がどのような概念マップを持っているのかということが想像できない。そしてコンテクストを共有しない人を「バカ」だと思う。だが、顧客のほとんどは彼らからすると「バカ」ということになるので、顧客をバカにする奴は「バカ」ということになる。

さて、混乱の原因は実はNTTの広報の情報操作の結果のようだ。日経新聞の記事を読んでみよう。

「iモード」ガラケー出荷終了へ NTTドコモ

 NTTドコモは2日、ネット接続サービス「iモード」の機能を搭載した従来型携帯電話(ガラケー)の出荷を年内で終えると発表した。対応機の部材の調達が難しくなってきたため、在庫がなくなり次第、販売を終える。iモードは一世を風靡したが、スマートフォン(スマホ)の普及に押されて利用者が最盛期の3分の1に減っていた。今後のガラケーはスマホ向けのネット接続サービス「spモード」に対応した機種に統一する。

 iモードのサービス提供は続ける。高齢者向けの「らくらくホン」や法人向けの一部機種はiモード搭載機の出荷を当面は維持する。

 iモードはドコモが1999年に始めた。携帯電話で銀行の振り込みや飛行機の座席予約など様々なサービスを手軽に使える利便性が受け、2010年3月には契約者が4899万に達した。

 しかしスマホの普及でここ数年は利用者が減少。9月末時点で1742万契約に減っていた。

この記事を「正しく読んだ」人は、ガラケーのうちiモードを使ったものがなくなるということが理解できるのだろうが、「iモード」がガラケーのあだ名であるという理解もあり得るということを想定していない。またガラケーはスマホの対立概念だと考える人も多いのはずなのだが「ガラケーはスマホ向けの」という記述が出てきた時点でわけが分からなくなる。らくらくフォンが継続するというのは結局iモード対応機種はなくなりませんよという意味なのだが補足情報になっているので関係性がよくわからない。

わけのわからない情報はスルーされる。

多分、NTTの広報は「スマホだけになる」という印象をつけたかったがクレームも怖いのでいろいろ補足情報を入れたのだろう。それを忖度した日経の記者もその筋で記事を書いたものと思われる。そのためiモードは時代遅れというニュアンスを含んだものになっている。だが、実際にはiモード対応機種はなくならないので、単なる印象操作にすぎないのだ。

混乱の原因はドコモの広報が、業務上のお知らせをプロパガンダに利用しようとしたことに起因しているらしい。かといってスマホしにろとも言い切れないので、結果的にわけのわからないことになったのだろう。

オペレータと話をして思ったのは、ドコモはしばらくiモードを止められないだろうなあということだった。らくらくフォンは障害者対策という意味合いがあるようで、これをなくすと困る人が出てきそうだからだ。そもそも、ガラケーユーザーは情報にさほど関心がないわけで、このような広報の職人芸的なニュアンスが理解できるとも思えない。多分、iモードがなくなるとか安い通話サービスい対応する電話がないと聞いたときにはじめて騒ぎだすのではないだろうか。