今日は政治を離れて、我慢することが良いことなのかについて考えたい。
マクドナルドでポイントカードを使おうとした。そこで「ポイントで」と言ったのだが、スルーされた。ポイントが不足する(100円のものを買う時にポイントが20円とか)だと操作が面倒なようだ。「できない」と思い込んでいる可能性もあるのだが、前にも同じことがあったので単に面倒なだけなのだろう。「足りないのだがどうするか」と聞いてくれればいいのだが、最近の人たちはそういうのは面倒なようで、黙って判断して簡単な方を選んでしまう。どうも、マニュアルで過剰な挨拶などを強要されているので、それ以上の話は何もしたくないのではないだろうか。
「最近の若いやつは」などと思ったのだが、こういうことはアメリカでもよくあったなあと思った。アメリカも賃金格差が大きいので時間給の人たちは面倒なことをやりたがらない。つまり、日本もアメリカ化しているのだ。
アメリカと日本には大きな違いがある、アメリカ人は納得できないことがあると口に出す。列は中断されるが、個人の異議申し立ては尊重される。クレームが顕在化して数が多くなれば、経営側はそれなりの措置を講じるだろう。が、日本人は我慢してしまうのでクレームが「不満」としてくすぶり続ける。
レジの複雑化という問題もある。各企業は囲い込みをしたいので「自分たちの店でしか使えない」ポイントシステムを導入したり、クーポンを発行したりしている。これがなし崩し的に拡大したために、レジの操作が複雑化しているのだろう。店員が対応できないと最終的に客が混乱することになる。が、不満は放置され、新しいい複雑さが上から降ってくるというわけだ。
実はこうしたことはサービス業では広く蔓延しているようだ。ヤマト運輸はお客さんの変更連絡をすべてドライバーに押し付けている。最初は「例外処理をさばいてもらって便利だ」ということだったのかもしれないが「いつでも変更できるからいいや」ということになり、不在が増え、さらにドライバーは休めなくなってしまった。
最初からバックエンドで処理したり、ITシステムで対応したりすれば良いわけだが、企業はそういう投資を嫌がる。ITが発展しないのは従業員が従順である程度こなしてしまうからなのだが、勤勉であれば過労死するし、勤勉でなければ「勝手にオペレーションを発明」して客を怒らせることになる。最終的には気が弱くてクレームが言えなさそうな人たちが不具合を引き取るはずだ。
同じようなことは先生の間にも起きている。多くの人が過剰労働状態にあるそうだが、これも「ちょっと頑張ってお付き合いしてしまった」から起きている。「できる」となれば「もうちょっとやってくれ」となるのが自然の流れだ。決して「もう十分だ」などとは言ってもらえない。保護者も忙しいので「無料で子供の面倒を見てくれる」課外授業の需要が高いのだろう。(Blogos/内田良)
お客も最後まで従順ならこれ以上言うことはない。しかし不満がたまっているのでちょっとした不具合が大騒ぎに発展する。多くの場合「常日頃たまっている不満」を別の不具合にぶつけるので収集がつかなくなる。「いっけんいい人」が匿名になると化け物になってしまうのだ。
多分、その場で解決していればこれほど炎上が蔓延する社会にはなっていないだろう。
従業員も顧客も我慢することはない。1) IT投資 2) 教育とサポートの充実 あたりをやればすんでしまう程度の話だ。だが我慢しているとそういったことが行われないのである。
従業員の場合はさらに悲惨で裏でものを蹴飛ばしたりしている。(ねとらぼ)見つからななければ何をしても良いという社会なのだ。が、それが見つかって炎上し、最終的には突然「今までも無理だったので20%値上げします」などと言い出す。
たいていの人は公衆の面前ではいい人だと思われたいだろうし、クレーマーと呼ばれるのも嫌だろうから、おかしいなと思うことがあっても黙っていればいいと思う。が、炎上というのはその我慢の裏の側面なのだということは知っておくべきだろう。