韓国の大統領がまた炎上している。韓国の大統領は地域や血族を優遇して炎上するのが常なのだが、今回の大統領は血族とは疎遠だった。しかし、お友達を優遇していたようだ。最初は情報を漏らしたことが問題視されていたようだが、企業からのお金も流れていたようだという話に発展しているようだ。
なぜ、韓国ではこの手の話題がなくならないのだろうか。それは韓国が氏族社会だからである。氏族は安全保障の単位として機能している。だから、何かあれば集団を頼るのは当然なのである。
もう一つの韓国の特徴は強いリーダーシップだろう。裏には権力格差を意識する社会構造がありそうだ。このために大統領には強い権限が集中し、周りの人たちもそれを是認する傾向がある。しかし、権力は天賦のものではないので人気が終わりに近づくと周りが騒乱状態に置かれるのだ。
「韓国は民度が低い」と笑うのも一興なのだが、ここで興味深いのは日本との関係だ。日本には氏族はなく、強いリーダーシップも見られない。氏族がないので身内への贔屓のようなことは少なくとも国レベルでは起こらない。またリーダーシップも強くない。
安部政権は安倍晋三の強いリーダーシップの元にまとまっているように見えるが、実際には党首と地方領主の相互契約に基づいている。このため、いろいろな問題が起きている。
例えば小池百合子は未だに自民党を離脱していない。都の組織から見れば若狭勝とともに造反者なのだが、領地を自力で獲得してしまったために、安倍晋三が小池百合子を応援し、小池百合子が若狭勝を応援するという奇妙な構図が生まれた。
さらに福岡では麻生太郎が応援する一派と鳩山邦夫の支持者が激突し、勝った側が領地を獲得した上で自民党の公認を得るということが起きてしまった。
もっとも懸念されているのがTPPをめぐる混乱である。もし安倍晋三が強いリーダーシップを持っていれば山本農林水産大臣を黙らせることができたはずなのだが、山本大臣は「失言」を繰り返している。
TPPというのは旗の役割を果たしており、実際にはそれ以上の意味合いを持っていない。野党がTPPに反対しているのは、自民党が賛成しているからにすぎない。と同じように「どうせ勝てる戦争」だと考えた自民党の兵士たちも本気では戦わないのである。強行採決という言い方が嫌いならば、「議会などリチュアル」なのだと言い換えてもよいだろう。山本大臣の領地は高知にあるそうだ。
日本がこのような契約社会になったのは、大きな敵がいなかったからだろうと考えられる。強いリーダーを立てて、弱くなったら捨てるという行動様式が生まれたのは、韓国が基本的に中国の脅威にさらされた小国だったからだろう。
ここまで整理できるとアメリカとの関係が見えてくる。日本は移動が少ない社会なので共通言語ができやすい。このため全てを形にする必要がない。一方、アメリカは移動の多い社会なので共通言語ができにくく、全てを明文化する必要がある。このため英語で契約というと明文化されたものを指すはずである。つまり、日本は非言語型の契約に基づく分散型の社会なのだとまとめることができる。
TPPが厚い文書になったのは「紛争解決の際には双方が真摯に解決を図る」という一文が使えないからなのだが、自民党の関係者はさほど問題視していないようだ。アメリカに忠義を尽くしていれば「悪いようにはされないだろう」という期待があるからだろう。さらにその裏には政府と国民の間には緩やかな調整機能があり、システムが崩壊するような大きなことは起こらないだろうという仮定があるのではないかと考えられる。
日本は小さな利益集団の合邦体なのでそれ以外の集団は全て仮想のものだと言える。