その人に構ってはいけない

さて、職場や近所に口うるさい人がいる。いろいろと不満があるらしくいろいろ言ってくる。「うるさい」とは思ったが、邪険にするわけにも行かないから、手みやげを持って挨拶に行く。いろいろ話をすると笑顔が戻った。

あなたはそこで「良かった、丸く収まった」と思うだろう。だが、それは間違いだったということに気がつくはずだ。その人は、また何か別のことを見つけてやってきて、あなたの仕事を邪魔するのである。何が悪かったのか。分かり合えたのではなかったのか。また、おみやげを持ってゆくべきなのだろうか。

こうした誤解が生じるのは人間の行動原理についての理解が不足しているからだろう。その人は問題の解決を求めているわけではない。代わりに求めているのは「社会的待遇」なのだ。平たく言えば、相手にしてもらうことを望んでいるのである。文句を言うことで、社会的待遇が得られることを学習してしまったことになる。またおみやげを上げれば次を要求してくるだろう。頻繁に報告や連絡するのもやめたほうがいい。「うるさく言うと待遇が得られる」ということを学習してしまうからだ。火に油を注ぐ結果になってしまうのだ。

この手のクレームを防ぐのはなかなか難しい。そもそも目をつけられた時点で「この人にはフリーライドできる」と思われていることになる。期待に応えないとますます逆上する。唯一考えられるのは「その人が何を要求しているか」ということを明確にすることだ。実際に被害を被っている場合はそれを改善してやる必要がある。しかし、それ以上のことを聞いてやってはいけない。

また、その人の言う通りにしてやってはいけない。代わりにその人に自分で問題を解決するように促すべきである。できないことはできないことが分かるので、意外と文句を言わなくなる。手助けをするのは良くないし、関心を持つのも好ましくない。親切のつもり(あるいは問題を早く片付けたいと考えて)手助けすると「あなたのやり方が悪い」などと言い出す。そうすることで相手の傾聴を引き出すことを覚えてしまっているのだ。

こういう面倒な人はどこにでもいる。決して罰しようと思ってはいけない。その人が受ける罰は「誰からも手助けしてもらえなくなる」ことである。結局「自分だけが課題をうまくやり抜くことができる」と確信している。たいていの場合、周りに同じように思っているはずで、距離を置かれているはずである。

こういう人が上司になると厄介だ。できるだけ傍観者に徹して、自分の達成すべき問題に集中すべきだろう。

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