「お砂糖“真”時代推進協議会」がCMを流している。古めかしい作りのコマーシャルで「脳の栄養はお砂糖だけ」と主張する。その古めかしさから悪目立ちをしているようで、ネット上のでは違和感を訴える声が少なくない。
お砂糖“真”時代推進協議会に問い合わせたところ「10年以上前のコマーシャルらしいが、詳しい事は分からない」という。日本食料新聞の「お砂糖“新時代”協議会キャンペーン概要決定(1998/05/11)」は8年目のキャンペーンだと書いており、一番古ければ1990年のコマーシャルである可能性がある。
このコマーシャルの違和感の原因は「意図が不明確」な割に頻繁に流されているという点だろう。何か特定の商品を売ろうとしているわけではない。そこで気持ち悪さが残り、解説を求めて検索してしまう。だが、コマーシャルを受けるウェブサイトがあるわけではない。「かゆいのにかけない」みたいな感じである。
調べてみるといろいろな事が分かる。糖尿病患者のように砂糖を控えなければならない人たちや医師が「コマーシャルは有害だ」と指摘している。そもそも、砂糖を取らなくても脂肪分から栄養を作り出して脳に栄養を送ることができるのだそうだ。中にはJAROに訴えた人もいるらしい。その結果、CMには読めそうもないような小さな字で「ケトン体も栄養になり得る」と書かれている。いずれにせよ門外漢には何のことだかさっぱり分からない。
さらに検索すると、ある独立行政法人が菓子ならびに砂糖需要喚起対策についてという文章を出しているのを見つけた。世の中にはお菓子があふれているように思えるのだが、なぜ、さらに需要を喚起する必要があるのかはよく分からない。「お砂糖“真”時代推進協議会」にはお菓子メーカーなども加盟していて、日本人がさらにお菓子を食べるようにキャンペーンをやっているようだ。
こうしたことから「原子力村」のように「お砂糖村」が作られて、税金が投入されているのでは?などと思ったのだが、その点については検索では確認できなかった。砂糖はいわゆる「聖域」の一つで、TPPが成立しても関税がまもられることが決まっている。「コメ・砂糖・麦は関税維持 TPP日米きょう閣僚折衝」によると、砂糖の関税は328%だそうだ。国内のサトウキビや甜菜業者を守る為に関税が設定されているわけで、砂糖は意外にも政治的な作物なのである。故にこのコマーシャルは間接的に「国内生産のお砂糖を使いましょう」と言っていることになる。