「安倍政権はけしからん」とか「安倍総理はけしからんというやつはけしからん」という人は多い。Twitter民主主義界隈ではさまざまな話が飛び交っている。そこでいつも「この人たちは何かあったときのための防衛策は考えているのかなあ」と思う。
日本の財政はトレンドとしては破綻に向かっている。国民貯蓄を政府がばら撒くことで政治が成り立っているからだ。国民の間には追加経済対策を望む声が多いが、これは国民貯蓄をばら撒いてくださいというのと同じことなのだ。
政権を維持するために「消費税増税を延期すべきだ」という意見もなくならない。にもかかわらず法人税は減税され続けている。生活保護受給者をいじめて経費削減をという人はいるが、票田になっている年金受給者への支給を減らせという人はいない。国中が分配を求めているわけで、これでは財政が良くなるはずはない。
だが、状況は変わり始めている。マイナス金利は銀行に対する課税措置だ。手数料は日銀でなく国庫に入るのだそうだ。つまり日本は資産課税を開始したのである。資産に課税することについては賛否あるだろう。余剰の資本が金融市場を荒らしているのは確かだ。また、格差が広がっているので、全部がいっぺんに破産すれば、すべてがチャラになる。究極の平等政策でもある。
財政が破綻すると預金は封鎖される。通帳の数字は残っていても原資になるお金がないからだ。ギリシャのように引き出し制限がかかるだろう。たんすに円を預金しておけばよいのではと思う人がいるかもしれないが、これも効果がない。日銀は円を切り替えるという名目で市中にある通貨を単なる紙切れにすることができる。新円切り替えと呼ばれる措置だが、これも実績がある。
第二次世界大戦後の財政破綻では国民のほとんどすべてがいっぺんに困窮した。困窮は首相や皇室にまで及んだということである。ところが、今回は平等な破綻は起こらないかもしれない。情報を握っている政治家たちやそのお友達は事前に資金を海外にフライトさせるだろう。
防衛策は簡単だ。海外の銀行に資産を移せばよいのである。急には作れないのだから、事前に準備しておいた方がよい。海外で口座を作ったら、定期的に資金を移動する必要がある。使っていない口座は凍結される恐れがある。郵便局に行けば一回2,500円で送金してくれる。受け取り側の銀行にも手数料が発生する。利用している銀行の手数料は15ドルだった。
資金フライトを恐れているのか、オンラインバンキングで海外銀行への振り替えを実施している邦銀はない。用紙に書き込む必要があるのだが、一度送金した情報を元に振込用紙を印刷してくれるサービスがあるそうだ。送金時には、マイナンバーを登録してある口座から振り込むか窓口でマイナンバーカードを見せる必要がある。なので海外に移した資金は政府に把握される。
海外の銀行にある預金でも日本のATMでも引き出せる。銀行によって違うと思うのだが、契約している銀行では郵貯、セブンイレブンで引き出せるようだった。ただし、照会と引き出しにはそれぞれ5ドルの手数料が必要だ。ただし、VISAデビットがついており、これで買い物をすると手数料はかからない。為替レートも中値でそれほど悪くなかった。VISAデビットはクレジットカード代わりに使える。
口座のチェックはインターネットでできるので、支店を訪れる必要はない。最近はチェックを頼まなくてもメールで個人に支払いができるらしい。一番困るのはコミュニケーションかもしれない。問い合わせ自体はSKYPEを使えば無料なのだが、スタッフと話すのに現地言語が必要だ。英語(シンガポールや香港を含む)ができない人はきついかもしれない。
確証はないが、日本政府は富裕層が海外金融機関を使うのを嫌がっているようだ。邦銀からの海外送金は不便なままだし、海外からの受け取りにもマイナンバーが必要。富裕層相手のシティバンクのリテールを潰したといううわさもあるし、アメリカのE-Tradeも日本居住者向けのサービスを停止してしまった。海外の銀行は日本の財務当局の「監視」が難しいからだろう。超富裕層向けにはサービスを実行しているのかもしれないが、一般庶民は海外口座が持ちにくくなっている。
もし、どうしても銀行口座が持てないというなら、あとはドルをたんす預金するしかない。これは北朝鮮などでよく行われている方法だ。ハイパーインフレに苦しんだジンバブエは自国通貨を廃止して外貨しか使えないようにしてしまった。