NHKの朝の番組でトランプ大統領の機嫌を損ねることなくNOという方法について真剣に話し合われているのを見た。これを見て危険だなと思った。
多くの人は「日本はアメリカに逆らえない」という前提を持っているようだ。だからTPPではアジアの国を引き込んで交渉力を得るべきであるという結論になる。日本が先導してアメリカがアジア各国の市場に参入できるように手助けすればアメリカも納得するだろうという主張が展開されていた。アメリカはジャイアンに例えられ、日本はのび太の地位にあるという認識も共有されていたようだ。
ところが冷静に考えてみると日本の経済力は世界第3位である。つまりのび太だとしても、とてつもなく太ったのび太なのである。では力の方はどうだろうか。実は日本の軍事力は世界第9位程度なのだ。これより上には西ヨーロッパ諸国、ロシア、中国、アメリカ、韓国しかいないという実力である。つまりとてつもなく力が強いのび太だということになる。
つまり、諸外国としてみたら「ジャイアンが近づいてきている」ようにしか見えない。いくら「他国を攻撃するための武器は持っていません」と言っても、実際に実弾が発射できる装備(自衛隊は装備品などと言っているようだが)を見たら「それって人を殺せますよね」ということになって当たり前だ。
日本としてはアメリカに逆らえないからいうことを聞いて、それを他国にもお願いするだけという意識を持つかもしれないのだが、実はジャイアン同士が手を組んでのび太を襲っているようにしか見えていないということである。
こうした自己認識は他国への潜在的脅威になりかねず改めなければならないとは思うのだが、賢い解説委員がたくさんいるNHKでもアメリカが出てくると70年前の感覚を引きずってしまうんだなと思った。思い込みは恐ろしいものだ。