守屋光治

本日はライトユーザーについて考えるのだがなぜかタイトルは人名である。守屋光治という人がいる。Men’s Non-Noの専属モデルをやっているそうだ。先日この人のYouTubeチャンネルを見つけた。正確にはMen’s NON-NOのウェブ担当のようである。Men’s NON-NOのモデル中でも特に洋服に詳しく大学で服飾の勉強をしたという。今ではエディターとしてもページを持っているそうだ。モデル兼エディターという華やかな経歴である。




常々「Men’s NON-NOは参考にならない」と思っていたのだが、守屋さんのチャンネルを見て少しだけ見方が変わった。おそらく「洋服がとても好きなんだろうな」ということはよく伝わってきて好感が持てる。

洋服あさりをする上で何がポイントになるのかもわかる。安いものから高いものまでたくさん持っているそうだが「これは着方がわからないから研究中です」というようなコメントもあり求道者的な趣もある。おそらく「Men’s NON-NOはとても洋服好きの人が作っているのだろう」ということが伝わってくる。雑誌全体の好感度が上がる。

ただ、全く閲覧数が伸びていない。

その理由は簡単だと思った。Men’s NON-NOのモデルたちは東京という極めてファッション情報が豊富な街に住んでいる。最新のブランドから古着までなんでも揃うという街である。そこで好きな服を選んで着ている。浮世離れしすぎていて興味がわかないのだろうと思った。

だがOur’s/僕らのチャンネルというもっと浮世離れしたチャンネルがあり閲覧数を多く稼いでいる。何が違うのだろうか?と思ったのだがよくわからない。

色々見ているうちに、Our’s/僕らのチャンネルはSullenという渋谷のセレクトショップのスタッフがやっているということがわかった。Men’s NON-NOにもSulle出身のモデルがいるようだ。「会いに行けるアイドルAKB48」やかつてのアバクロモデルのような存在である。マスメディアから身近なセレブへと時代が変わっていることがわかる。Men’s NON-NOのモデルはテレビのようなものであり「少し遠すぎる」のだろう。

だが、モデルがアイドルである必要もない。ファッションの知識で勝負すればいいではないかとも思った。それではファッションブログとしてはどんなものが伸びているのだろう。試しに見てみた。

まず、WEARで人気のGenjiという人のYouTubeチャンネルを見てみた。Genjiさんのチャンネルは「そこそこモテたい人が失敗しない洋服選びをするにはどうすればいいのか」ということを中心にまとめられている。ファッションには「必要だが面倒」という側面があることがわかる。だから最低限で情報を集められるチャンネルに人気が集まるのである。Genjiさんが多用するのが「9割の人からおしゃれに見られる」というワードである。確かにWEARでは無難な服が高評価されることが多い。冒険して失敗している人もたくさんいて確実なものが受けるのである。

ユニクロのアイテムを使って最低限の努力でおしゃれに見せる方法というようなアプローチも目立った。例えばスタイリスト大山シュンのチャンネルはその典型である。やはり「手っ取り早く外さない」というのがテーマになっているようである。ものすごくおしゃれでなくても清潔感があればいいというのが人気の秘訣だ。

Men’s NON-NOは発行部数9万部弱だという。ファッション雑誌の中では売れている方だろうがマスメディアと呼べる規模でもない。最近では東出昌大、坂口健太郎、成田凌、清原翔、宮澤氷魚などの俳優がNHKの朝ドラなどで活躍してブレイクするということも増えている。ファッション媒体ではなく芸能人の発掘場所の一つとして仮面ライダーのような見方をされているのかもしれない。

ファッションのライトユーザーにとって服が好きというのはあまり重要な情報ではなさそうだ。ここが作り手と受け手のギャップになっている。扱いが難しいところである。

と、ここまでの考察ならあえてブログに書くようなことはしなかったと思う。ところが今朝全く違うことを思いついた。先日Quoraに憲法審査会のことを書いた。意外と「立憲民主党が悪い」というような評価が多くついた。中には審議拒否をしていると立憲民主党は支持を失ってしまうだろうと書いている人もいた。

そこであることを思い出した。おそらく政治に興味がある人と一般人のずれがわかる話である。一般人は憲法には興味がなくおそらく地方行政にも興味はないだろうと結論づけざるを得ない話である。

2019年に行われた千葉市議会選挙でちょっとした波乱があった。熱心に地域問題を扱ってきた議員がいる。一人は民主党から国民民主党に流れた。地域の親分である国会議員とその系列の県会議員が国民民主党に流れたのでそれについていったのだろう。もう一人は市民団体系の女性である。お悩み相談所を解説して熱心に市民運動に取り組んでいる。こちらは当然護憲派である。

政党支部がなくなってしまった立憲民主党は参議院選挙に間に合わせるように仮組みの政党本部を立ち上げた。市議会議員選挙があり27歳で政治経験はないが爽やかな風貌の男性を候補者に立てた。

当然普段からの努力が報われるはずだから国民民主党系や市民団体系の現役議員の方が得票が高いはずである。だが結果はそうならなかった。

筆頭で勝ったのは公明党の議員だ。次は利益誘導型の自民党議員である。この人は次の市長選挙に出るのではと噂されている。その次は無所属の古株の人でさらに共産党が続く。ここまでは「昔のままの構造」が残っている。組織票と利権の方が強い。これは仕方がない。

立憲民主党の議員はこの次に入っており4000票余の票を獲得したが、一生懸命に地域で活動していた人たちはかろうじて当選はしたものの新人の議員に及ばず3000票あまりだった。普段の努力はあまり報われないのである。特に市民団体系の支持者たちは理不尽だと感じたようだ。

このことから地道な運動よりも「見た目の爽やかさ」で投票する人がおそらく意外と多いことがわかる。いわゆる政治の「ライトユーザー」である。政治に興味はなく利権ともあまり関係はないがまあ市民の義務として投票はしましょうというような人たちである。彼らが手っ取り早く候補者を選ぶとなんとなく清潔そうな人を直感で選んでしまうのである。

立憲民主党はおそらくこうした政治手法を覚えてしまっている。小選挙区で勝つことはないだろうが「そこそこ稼げてしまう」ので政権を取らなくてもなんとかなってしまうという状態だ。なぜ立憲民主党にさほど切迫感を感じないのかという謎は普段の政治ニュースを見ていてもよくわからない構造ではないかと思う。

おそらくMen’s NON-NOはヘビーユーザーが雑誌やウェブを作っているのだがYouTubeで求められているニーズはそれとは異なっている。これはおそらく政治やそのほかのマーケティングでも重要な視点だろう。ライトユーザー分析が意外と大切であるということがわかる。

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