問題がおきたらマメに通報しておこう

日々の暮らしの潤いの一環としてTwitteで国政について愚痴るのも楽しいのだが、それにも飽きたら次は地域の問題に関心を持ってみましょうという話をしたい。

先日、公園を歩いていると、チェーンソーで草刈をしている人に出くわした。手に小石が当たったのだが、担当者は作業を止めるつもりはないらしい。そこで、担当者の会社名を聞きだしたうえで責任者に話を聞いた。

本来は安全義務があるのだが、作業者にそのことを伝えておらず、監督者も置いていなかった。なぜ、そうなるのかを聞いたところ「予算がないから監督者を置けない」という。

そこで市の担当者を聞き出してメールを送った。最近ではホームページにメールアドレスがある。すると「私は担当じゃない」との返事が返ってきた。市役所の関心事は市民の安全にはなく、誰の担当かとういうことだ。役所はバツが付くことを恐れるのである。

一週間ほどしてメールが来た。もともと業者は事業計画書の提出が求められている。事業計画書には安全管理者を置いて、従業員にも安全教育をすると書かれているのだという。

ただし、市としては事業計画を検証することはない。表向きは「対応をしている」としているのだが、実際には放置しているのである。つまり、事業計画とは建前を書いたものなのだということが分かる。予算が足りないということはないとも書き添えてあった。

面白いのは、こうした構造は草刈のような小さな公共事業から国立競技場の建設のような大きな問題にも共通だという点だろう。つまり、誰も関心を持たないことを前提に安い見積もりが立てられるのだが、国民の関心が集まると「ではもっと予算をくれ」ということになってしまうのである。最初から実施するつもりがないことを書いておいて、実際にやれということになってはじめて「その予算は組み込まれていませんでした」という話になるのだ。

市役所からの回答には「今後は気をつけます」と書いてあったのだが、これは過去に起きたことについては何もしませんという役所用語である。

ポイントになるのは「文書による回答を得た」ということだ。こうしたヒヤリの裏には同種の事故が隠れている。それが深刻になると表出し「炎上」が起きる。炎上が起きるほどの事故が起きたときには誰かの命が失われるということを意味する。すると事業者側は「想定外」だというはずだ。

だが、こうした文書が残っていれば「想定外」ではなかったということが分かる。結局、役所というのは監視がないと堕落してしまう運命にある。役所が堕落するのは成果を挙げることを求められていないからである。

よく「なぜいちいちなんでもTwitterで炎上するのか」という疑問を目にするが。基本的に日本の行政や企業は炎上を起こす運命にある。安全対策をとらず、自浄作用も働かないので、大騒ぎになって初めて問題化するからである。

ただし、いくつかのコツもありそうだ。第一のコツは消してパーソナルに取らないことである。小石が当たってムカッとしたのだが、多分担当者と言い争いをしても問題は解決しないだろう。背景にありそうな問題に当たる必要がある。

次のコツは「建前」を見つけることだ。この場合は、「市民の安心安全」というのが建前になる。法律は建前ベースで作られており、担当者がアサインされている。だから、建前をベースに責任者を見つけ出すべきなのである。

建前にならないことは「意見が分かれる」ということで政治家マターになってしまう。また地域間競争(どこの小学校を耐震化するかなどといった問題がある)なども政治家マターだ。こうした問題について興味があるのなら最寄の市議会議員に伝を付けるしかない。市議会議員に個人で当たるのは得策ではない。彼らは票のとりまとめをしてくれる人たちを期待している。多分、予算の使い方というような問題も政治家マターだろう。情報は公開されているが専門家でないと読み込めないからだ。

最後のコツは解決を求めないことだろう。どうしても「お前のためを思って言ってやっている」という気分になりがちなのだが(実際に僕はそう思った)こうした正義感が満たされることはない。解決を求めないのだから、忙しいのにわざわざ時間を潰す必要はない。できる範囲でやればいいのだ。

何回かやり取りをすると「役所ってこんなもんだなあ」と思える。まあ、Twitterで国政に対する愚痴を言うときにも新しい洞察が得られるかもしれないくらいの気持ちで取り組めば少しくらいはすみやすい世の中になるかもしれない。

かつてはたらい回しにされると、役所で何時間も待たなければならなかった。今ではメールでやり取りができるので、たらい回しもそれほど苦痛にならない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です