ロードサイド店の荒廃

Macbookが発表された。キーボードに若干変更が見られるだけで目新しさがなかったところから、失望の声も大きかったようだ。「Surfaceの方が感動した」という声があり、逆にSurfaceってそんなにすごいのかと思った。よく分からなかったので、近所のロードサイド店に見に行った。

SurfaceそのものはiPadみたいなものだった。こういうのがいいという人がいるのかと思った。Macはお金持ちの道具なので、タブレットはタブレットで買って、そのほかに3年ごとにパソコンを買い換えてねというような発想で作られている。一方マイクロソフトは、パソコンもタブレットも1台でというコンセプトのようだ。どちらがいいのかは正直分からない。

ここで驚いたのはパソコン売り場の荒廃ぶりだった。売り場には店員があふれているのだが、みんなソフトバンクなどから派遣されているようでインターネット回線を売っている。

一方、店員たちは少ない人員でいろいろなことをやらされているらしく、このぶらぶらしている回線販売員が店員を呼び出す仕組みになっているらしい。だが、店員は呼び出されたことに明らかに腹を立てていた。Surfaceなんかたいしたことはないと言い放ち「では何が売れているのか」と聞くとパソコンなんか売れないという。もはや売る気がないわけだ。最新機種はこんなところに来ませんよ、とのことだ。「パソコンを買う人はアキバに行きます」というのだ。何か売りたいものがあるのかなあと思ったが、とにかくふて腐れていて早く開放されたいようだった。

この姿勢は理解できる点がある。パソコンを電気店で買う人はいないのだろう。Amazonか直販で買うのではないだろうか。店頭に来る客は冷やかしばかりなのだろう。いわゆる「ショーウィンドウ化」だ。

そこで、店側は人員を削減して、インターネット回線を売りつける人たちに貸すことにしたようだ。不動産業態になっているわけである。最近トレンドになっているようだ。松坂屋は銀座から撤退し専門店に店を貸すことにしたというニュースを目にした。「小売はリスクがある」ということで少ないスタッフで定期収入があるほうがよいのだろう。リスクとはすなわち販売員を抱えることを意味する。労働者はリスクなのだろう。

インターネット回線はそんなに売れるのかと思ったのだが、係りの人に聞いてみると、NTTから回線を借りているので違いはないという。あとは値段とサービスなのだが、サービスにもそれほど差がないし、値段もある点に収束している。つまり、基本的に売ることができないわけだ。そこでビンゴ大会をやっていたが、あとできる努力と言えば年寄りをだますことくらいだろう。だますというより必要のない人に光回線を押し付けて、あわよくば付帯サービスも買ってもらうというのが彼らの「努力」になるのだろう。

アパレル店をいくつか見て「ああ、荒れているな」と思った。アウトレット店はまだマシなのだがデパートはかなり荒廃しているようだ。荒廃ぶりが分かるのは立ち姿とおしゃべりだ。

電気はそれ以上に荒廃しているようである。そんな中で店員は「どうせ売れない」と考えており、いやいや土日を潰しているわけだ。

メーカーはそれなりに「おお、これはすごい」といえるものを出しているはずなのだが、それはもはや伝わらない。多分、Macのようにメーカーの発表をインターネットで見るような人でもなければ新製品の良さを発見することはないだろう。つまり、それだけものが売れなくなるということになる。

今回訪れたケーズデンキはそれでもまだましな方だ。ヤマダは本業をあきらめて住宅販売に力を入れている。売り場が荒廃してしまったために誰も寄り付かず、余った売り場に生活雑貨や食品を扱うようになった。多分そのうちにロードサイド店は淘汰されてゆくんだろうなあと思った。

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