ヤフオク化

ヤフオク(ヤフーオークション)は面白い。市場で手に入れられなくなったものを安く手に入れることができるし、ジャンクショップを歩きまわる手間も省ける。だが、なんとなく殺伐とした雰囲気がある。曰く「質問はするな」「クレームをいうな」「落札したら早く金を払え」などなど。いたずらで落札して、お金を振り込まない人も多いらしい。逆に落札して「いつ届きますか」と聞いても返事が来なかったりする。

どうして、こんなことになるのだろうかと思った。

元々、日本人は人付き合いが嫌いだ。愛想を良くしているのは仕事上必要だからか、職場でそうするように強要されているからだろう。ヤフオクの出品者たちはこうした組織的に押し付けられた愛想の良さというものを嫌っているのではないかと考えられる。しかし、愛想をよくするのは、比較的わかりやすい社会構造の中で、好ましいキャラクターを保持しなければならないからだと考えられる。

だが、ヤフオクはジャンク市場なので、品質が悪かったとしても文句を言われる筋合いはない。決済後クレームをつけてきてもそれは無視すればよいだけの話だろう。だが、クレームをつけられると嫌な気持ちがするので、予防線を張って嫌な思いをするのを防ごうとしているのかもしれない。いずれにせよ「クレームをつけるな」と言われてもクレームを言ってくる人はいるだろう。つまり、日本人は不特定多数からのネガティブな意見に対して耐性がないということになる。

では、日本人が商売が下手なのか、まともに買い物ができないのかということになるのだが、そんなことはない。つまり、能力の問題ではなく、日本人が伝統的なコミュニティを維持するのに必要な要件を欠いているために、こうした混乱が起きているのだということになるだろう。

日本人は村落的な社会的監視網を使ってコミュニティを維持しているのではないかということが類推できる。インターネットではこれを欠いてしまうので、市場全体が「お行儀悪く」なってしまうのである。コミュニティを正常に維持するためにはいくつかの方策が考えられる。

一つ目は、「その場限りの」ドライな関係に慣れることだ。Twitterでもとんでもない暴言を吐く人や自分の考えを押し付けてくる人はいる。「このように思う人もいるのだ」と慣れてしまうことだ。商取引の場合には条件を提示しておき、その枠に収まらない人たちを排除してしまうということになる。

もう一つのやり方は会員資格を限定してメンバーを限ることだろう。メンバーシップを限れば、村落的な関係性を維持することができる。

いずれにせよ、インターネットが登場したことで、日本人とコミュニティに関する態度は過渡期にある入ったのではないかと考えられる。

完全に村落共同体的な状況が戻ることはないわけで、不特定多数の交渉に慣れる必要があるのだろう。

 

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