テレビや新聞に接すると不安になるだけじゃないだろうか

田崎史郎という人がTBSやフジテレビにでて「安倍首相は意外とトランプとうまく行っている」とか「パイプがあったからこそ電話会談ができたのだろう」などと言いまくっている。安倍首相が外務省のいうことを鵜呑みにしてクリントンに賭けていたというのは有名な話だし、安倍支持者が「アメリカ様が承認してくれなかったらどうしよう」とおびえているのは想像に難くないわけで、この人ジャーナリストというよりは電波芸人だなあと思った。

でも、まあ電波芸人を信じているうちは「ああ、これまでどおりで安心できるのだ」と思えるわけで、電波芸人さんにはそれなりの需要があるのだと言える。その需要とは「何も考えないこと」だ。

同じく日米同盟維持派の人たちも必死だ。軍事アナリストの小川和久さんは盛んに23兆円という数字を出して日米同盟のほうが安くつくと繰り返し、賛同する人のコメントをRTしていた。

しかし、彼が後に明らかにしたところによるとこの見積もりは防衛大学校の教授の試算なのだそうだ。防衛省には競争がなく現在でも高い資材を調達しているのではないだろうか。オリンピック関係者が夢のオリンピックをやるとすればこれくらいかかりますよと計算しているみたいなもので、まったく当てにならないだろう。その上、防衛省は日米同盟維持派のはずで、独自調達コストを高めに設定していることが疑われる。

しかし、多くの日本人は日本語しかできない上に、できるだけ何も考えたくないわけだから、こうした「識者」の言うことを聞いておけばよいと思う。日本のジャーナリズムの存在意義は精神安定剤なのだろう。トランプ大統領が決まってから「意外とできる人だ」などという論評が飛び交うのを見ているとそう感じる。一方で、日米同盟がそれほど磐石でないという潜在的な不安があるのかもしれない。

今朝方見たイアンブレマー氏のビデオでは(早口なので間違っているところがあるかもしれないのだが)おおむね次のようなことを言っている。

NATOは国防費を増やすだろうがリスク分散のために使うのでアメリカへの支払いは増えそうにない。日本は支払う。韓国は大統領の支持率がああいう感じなので……

合理的に考えればリスクヘッジは当たり前である。だが、日本は近隣に同盟国がないのでヘッジのしようがない。防衛省は役に立たない。国を守ろうという気概はなくせいぜい予算が出たら省益を拡大しようくらいの気持ちしかないのではないか。おまけに安倍首相は中国や韓国を挑発しまくっているので彼らと組んで地域の安全保障を担保することもできない。台湾は国ではないし、フィリピンには船をせびられた。アメリカしか頼る国はないから、言い値を支払うしかないわけだ。

アメリカは世界に軍隊を派遣し、それなりに犠牲者も出している。ヨーロッパはロシアと対峙していて移民も問題になっている。それに比べると日本には大きな問題はなく「金くらいもっと出せるんじゃないの」というのは素直な感情なのではないだろうか。

そもそも右派メディアはトランプ大統領の過去の発言に動揺しているようだし、左派メディアは人権の危機だとかガラスの天井が破れなかったみたいな分析しかしないわけで、まったく役に立たない。

小川さんの発言を見ていると日米同盟に依存せざるをえず、まともな分析もしてこなかったので、不確定な要素登場に耐えられない人たちの末路というものを感じる。パラダイムが変わると知見がすべて覆ってしまうのだ。

あとは自分で考えるしかないわけだ。幸い英語で取れる情報は多くあるので、情報ソースには困らない。多分日本語オンリーでテレビを見たり新聞を読んだりするよりはマシな気分になれるのではないだろうか。

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