クッキーモンスターの転向

セサミストリートの面白いところは、キャラクターの無意味な情熱だ。例えばカウント伯爵は数えることに異常な情熱を持っており、数えているうちに我を失ってしまう。人間の無邪気さの裏にはこうした狂気が潜んでいるものだ。同じようなキャラクターにクッキーモンスターがいる。クッキーが大好きなのだが、そのうち興奮して何でも(食べられないものでも)食べてしまうという設定である。

ところが、そんな無邪気なクッキーモンスターはもういないらしい。英語版のwikipediaによると、クッキーモンスターはその哲学を曲げてしまったらしい。「クッキーはときどき食べるもの」であり、果物や野菜も食べなきゃだめなのだという。以下、一節の抜粋。コルベア・リポートは深夜のショー番組で、ピーボディー賞はテレビのピューツア賞と呼ばれる栄誉ある賞なのだそうだ。

2008年6月19日、コルベア・リポートに出演したクッキーモンスターは再び「クッキーは時々食べるもの」だと説明した。彼はスティーブン・コルベアのピーボーイ賞を食べようとした。コルベットは興奮して、なぜクッキーモンスターはクッキー賛成の立場を捨てたのかを訪ねた。スティーブンの聞いたところによると、クッキーモンスターの転向のせいで果物が子供の大好きな食べ物になってしまったそうだ。スティーブンはクッキーモンスターがクッキーラベルピンを身につけていないことも批判した。 クッキーモンスターは70年代80年代は狂った時代で、自分はロバート・ダウニー・ジュニアのクッキー版だったと主張した。クッキーモンスターはピーボーイ賞(丸いメダルで小さな台座が付いている)はクッキーなのかと訪ね、コルバートがショーの終わりに戻ってくると、賞は消えておりクッキーモンスターは口を拭っていた。

背景にはアメリカの子供の栄養知識の不足があるのだろう。アメリカ人は(日本人に比べて)家庭の味にとぼしく、人によっては栄養の知識が全くないまま育つこともあるという。子供の教育を担うクッキーモンスターもこうした教育的配慮とは無縁でいられなかったことになる。いわゆる「政治的配慮(ポリティカルコレクトネス)」で、日本でいうところの「コンプライアンス」だ。

ちなみに、クッキーモンスターの一番好きなクッキーはチョコチップであり、二番目はオートミールクッキーだそうだ。日本語版のwikipediaはクッキーモンスターに対する情熱はあまりないらしく、ほとんど記述が見られない。

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