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- アメリカとの圧倒的な国力の差を感じ、アメリカの品質改善運動を模倣しようという動きができた。
- 品質改善に成功し製造業が発展した。しかし、国外との競合のなかった分野では合理化がおきなかった。また、出せば売れたので、小売り現場の合理化も起こらなかった。
- 80年代にアメリカ人が日本の製造業を研究しはじめたので「日本すごい」と勘違いする人が増えた。
- 資産バブルが起こり土地を売り買いすると自動的に儲かるようになったので、本業が疎かになった。
- 流行に乗ってMBAブームが起きた。海外留学が増えたが、帰ってきてもオペレーションが変えられず、結局MBAは役に立たないということになった。
- マネジメント手法を知らないまま管理職になる人が増えた。そもそも日本の会社はプレイヤーからの生え抜きだったので、専門の管理職教育を行うべきだという伝統がなかった。
- 資産バブルが崩壊して本業が圧迫されたが、終身雇用なのですぐには人を減らすことができなかった。そこで新しく入ってくる人を非正規に置き換えた。
- 新人研修ができなくなり、業務に必要な知識が社内で共有できなくなった。
- それでもマネジメント教育をしなかったので、人件費削減だけがマネジメント知識として残った。
- 小泉・竹中路線が引かれて、安い労働力がを調達しやすくなったので、ますます、人件費削減がマネジメントだということになった。
- 非正規雇用には知識ベースの業務を任せられないので、正規層の最下層にいる人たち「名ばかり店長」の負担が強まった。彼らはマネジメントの知識も裁量もないまま管理職とされた。成果ではなく、不成果の責任を押し付けるという慣行が生まれた。
- イノベーションが重要ということになり、新規事業開発に乗り出すようになったが、イノベーションをマネージするという教育も発想もないので、根性で新しいビジネスを見つけろということになった。ここに「正解を効率よく学んできた人」が投入されるようになったが、答えを見つけるという教育は受けていないのでひたすら長時間労働をするようになった。
- 長時間労働で疲弊すると、生産性が上がらなくなった。定型業務を効率化するとに特化されたIT投資は、探索型の業務には適用されなかった。また流通などの業界にはそもそもコンピュータすら導入されなかった。市場で何が売れているのかますますわからなくなり、数ヶ月おきにとりあえず新しい商品を作って売るいうことが起こった。市場には情報が溢れ、消費者は新製品情報に見向きもしなくなった。
- 遅まきながら市場調査が行われ、今度は定番品ばかりが作られるようになった。
- IT投資を行わなかったので製造業の現場では未だにNECの旧型パソコンが使われていることがある。また場当たり的にコーディングした内容を解析してどのような業務が行われているかというルールを抽出するというサービスが提供されるようになった。もはやどのように仕事をしていたのかすら思い出せなくなっている。
- IT分野では製造業の成功に倣って、既知の問題を徹底的に潰すために長時間労働するようになった。例えば、年に数回も起こらない問題を潰すためにエンジニアが投入された。だがこれはβ版を出してから問題を修正する方式に駆逐された。新しいサービスが投入できないからだ。
- 不効率な長時間労働が蔓延しているので、それに応えるサービス産業も24時間化している。1日になんども同じ家を訪問しても留守なので、なんども訪問しなければならないのだ。
- 安い労働力の調達だけがマネジメントなので、今は海外から安い労働力を調達するかという議論が行われている。また、ホワイトカラーを安く使えるように残業代をなくす法案が準備されるようになった。今後海外から入ってきた安い労働力と最初から奨学金という借金を抱えた人たちが競合するような社会になることが予想されている。日本の現場は10年前にはどうやって仕事をやっていたのかすら思い出せなくなるだろう。