きのう・きょう・あしたの語源

日本語では、今日からみて次の日のことを「あした」と表現する。ただし、あしたのもともとの意味は「朝」である。このことから、昔の日本には明日・今日・昨日という概念がなかったことが分かる。あしたの対になる言葉はゆうべであり、これは昨日の夜の意味だ。日本人は今、あしたの朝、きのうの夜くらいの時間軸で生活していたことになる。

明日、昨日は中国語から輸入した概念らしい。現在では明天・昨天というようである。中国語では、翌年のことを、明年・来年と言うらしいが、日本語からはなぜか「明年」という表現が落ちてしまっている。

ゆうべには今でも「一般的な夜」の意味と「昨日の夜」という二種類の使い方がある。これは日本語に冠詞がないからだろう。つまり、evening, the evening, an evningのような区別ができないのだ。同じようにあしたにも、「一般的な朝」と「特定の(つまり明日の)朝」という二種類の区別があったのではないかと類推できる。

ちなみに昨日はきのふであり「(さ)きのひ」から来ていると考えられているようだ。「さき」が、「さきの大戦」のように過去を向いているのが興味深い。「このさき」というと将来のことになる。今日はけふであり、「け」は「けさ(この朝)」と同じだという。「ふ」は「ひ」が転じたものらしい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です