県という単位

「1県に1人の代表者を出したい」。簡単そうに見えるこの主張が選挙制度改革の足かせになっている。都道府県の人口にばらつきが多く、一つの単位として使えないからだ。一番大きなのは東京都で1300万人が住んでいるのだが、一番小さな県は50万人程度の人口しかない。

では、県を再編成すればいいのではないかと考えて実際にやってみた。政府がやるといろいろ文句が出るだろうが、ネットの片隅でやっても誰も文句は言わないだろう。北東北を2県にし、北陸も3県1市に整理した。岡山と広島は独立していてもよさそうなのだが、山陰が弱者連合になってしまうので、山陽の県に面倒を見てもらうことにする。東九州と肥前は1県ずつに整理する。宮崎を分割して大分や鹿児島とくっつけるという手もある。するとだいたい200万人規模でまとめることができるのだが、いろいろと不具合もある。

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第一に政令指定都市が成り立つ地域と成り立たない地域がある。ここで市松模様になっている県(熊本、教徒、新潟、宮城)は政令指定都市と県を分離してしまうと、県側に100万人規模の人口しか残らない。一方、県と政令指定都市を分離しても地域として成立する地域はある。だが、そうすると90万人くらいしかない「県と同格の地域」ができてしまう。つまり、県と同じような機能を持つ政令市と県の関係も一概に整理することは難しそうなのだ。

山陽地方と山陰地方をひとまとまりにするなど「地域としての一体感がないから無理だ」と文句を言う人はいるだろうが、この主張にはあまり正当性はない。例えば福岡県は県の東西で言葉が全く違っている。同じように兵庫県は山陽・山陰・瀬戸内海と3つの異なる地域の連合体だ。一方、佐賀県のように、同じ肥前でありながら長崎奉行所の管轄に入らなかった地域もある。薩長土肥の一国だったので、独立性を守ったのかもしれない。長崎は壱岐・対馬・五島・九州本土というまとまりのない地域を管理している。

最後に残る問題は首都圏への一極集中だ。神奈川県には3つも政令指定都市があるのだが、それでも県部の人口は300万人を超える。埼玉県部や千葉県部(それぞれ政令市を除く)も500万人近くの人口を抱える。一番大きな問題は東京である。1/10の人口を抱えるが一体性が高い。例えば世田谷区は80万人以上の人口を抱えていて一区で政令指定都市が作れるのだが、これは世田谷区の中に複数の行政区が作れるということを意味するのだ。

こうしたバラバラな自治体を統一的に分割するルールなど作れそうにない。道州制も人口のばらつきが大きくあまり本質的な意味はなさそうだ。都道府県はそもそも成立当時から一貫性がなく、今も一貫性がない。効率化を目指すならば県や道州という単位をあきらめ、比例代表制にするのが一番良いのではないかと思う。

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